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旭化成、産業系廃棄物の資源循環プロセスを追跡する「資源循環デジタルプラットフォーム」を構築へ

DIGITAL X 編集部
2022年12月13日

旭化成は、産業系廃棄物の資源循環プロセス追跡するためのプラットフォームを構築する。製品開発のためのシステムと、販売後の回収・再生のためのシステムの、それぞれが持つデータを連携することで実現したい考え。そのための課題抽出や開発要件などの検証に取り組んでいる。2022年9月14日に発表した。

 旭化成が構築するのは「資源循環デジタルプラットフォーム」。産業系廃棄物の資源循環プロセスを網羅的に追跡できるようにするのが目的だ(図1)。まずは、その実現に向けた課題抽出や開発要件に関する検証を2022年8月から2023年3月にかけて、東京都環境局の2022年度「事業系廃棄物3Rルート多様化に向けたモデル事業」の採択事業として実施する。

図1:資源循環デジタルプラットフォームでは、動脈・静脈双方で使われているシステムのデータを連携し、製造・排出・回収・再生といった資源循環のプロセスを追跡できるようにする

 資源循環デジタルプラットフォームは、資源循環のプロセスで「動脈」と呼ばれる原料の製造や製品化のためのシステムと、同プロセスで「静脈」と呼ばれる製品販売後の排出から回収・再生のためのシステムの、両システムが管理するデータを連携することで実現する。

 具体的には、動脈側として製品の開発・販売のトレーサビリティを確保する「再生材利用促進システム」を、静脈側として廃棄物資源化管理システム「iCEP(intelligence Circular Economy Platform)」を利用する。

 再生材利用促進システムは旭化成が開発するシステムで、資源循環のための基盤構築を目的に2021年度にスタートした「BLUE Plasticsプロジェクト」の成果物になる。データの改ざんをブロックチェーン技術を使って防ぐことでトレーサビリティを実現する。

 一方のiCEPは、許可情報や契約、マニフェストを管理するための共通プラットフォーム。Webコンサルティング会社の小僧comがアプリケーション開発を、リサイクル業者システムを開発する資源循環システムズが要件策定と課題分析およびクラウド環境の整備を、ITサービス会社のユニアデックスがシステム連携の企画と実装を、それぞれ担当する。

 プラットフォーム稼働後は実証実験により、システムの稼働状況や社会実装の検討を進める予定である。実験の参加者は、旭化成の呼びかけで立ち上げた資源循環プロバイダーのコミュニティ「BLUE Plastics Salon」のメンバーを中心に募集する。小僧com、資源循環システムズ、ユニアデックスの3社もBLUE Plastics Saloの参加メンバーである。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名旭化成
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題産業系廃棄物を対象に、製造・排出・回収・再生までの資源循環プロセスを網羅的に追跡できるようにしたい
解決の仕組み再生から原料製造、製品化の領域を担うシステムと、製品の排出から回収、再生までの領域を担うシステムのデータを連携し、網羅的に追跡できるプラットフォームを実現する
推進母体/体制旭化成、小僧com、資源循環システムズ、ユニアデックス
活用しているデータ産業系廃棄物の製造から排出、回収、再生までの循環プロセスにおいて発生するデータ
採用している製品/サービス/技術「再生材利用促進システム」(旭化成製)、廃棄物資源化管理システム「iCEP(intelligence Circular Economy Platform)」(小僧com、資源循環システムズ、ユニアデックス製)、ブロックチェーン技術(日本IBM製)
稼働時期2022年8月~2023年3月(プラットフォーム実現のための課題抽出や開発要件に関する検証期間)