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東急電鉄、線路の巡視や敷地内の異常監視へのローカル5G活用を実証実験

DIGITAL X 編集部
2023年1月10日

東急電鉄は、線路の巡視や敷地内の異常監視にローカル5G(第5世代移動体通信サービス)を活用する実証実験を2022年12月から住友商事と共同で開始する。巡視業務の効率化・高度化と、線路敷地内の安全性向上が目的だ。2022年9月14日に発表した。

 東急電鉄が住友商事と共同で実施するのは、線路や敷地内の巡視・監視にローカル5G(第5世代移動体通信サービス)を活用する実証実験(図1)。2022年12月から東急東横線の菊名駅、妙蓮寺駅、横浜駅と、横浜高速鉄道みなとみらい線の横浜駅で実施する。総務省の「令和4年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証(特殊な環境における実証事業)」に採択された。

図1:東急電鉄と住友商事が実施する実証実験の概要

 実証で目指すのは、(1)線路巡視業務の効率化・高度化と、(2)線路敷地内の安全性向上。前者では、電車に4Kカメラを設置し、その映像をローカル5G回線で伝送。AI(人工知能)技術で解析することで、線路設備などの異常を遠隔から確認できるようにする。

 同様の実証実験を東急は2021年度に東急東横線の自由が丘駅で実施し、駅での停車時間内のデータ伝送と解析時間の短縮に成功した。今回は、AI解析の精度を高めるとともに、横浜駅ではローカル5Gシステムの一部設備とAIアプリケーションを横浜高速鉄道と共用する。他の事業者との共同利用も検討し、2023年度以降の商用化を目指す。

 後者では、沿線にカメラを設置し、線路敷地内や踏切を網羅的に監視し、歩行者などの踏切の渡り残りや第三者の線路内への侵入を自動で検知する。映像を司令所や運転士にリアルタイムに伝送することで事故の未然に防止するとともに、異常発生時は早期の運転再開につなげたい考え。線路敷地内の安全性向上は鉄道の自動運転の実現にもつながるとする。

 東急と住友商事によると、日本の鉄道業界では熟練技術者を含む従事者の減少や車両・駅構内・沿線でのトラブルの増加が懸念され、現場の自動化や省力化、安全性の向上が求められている。そのためのインフラとして、高速大容量・超低遅延で多数同時接続が可能なローカル5Gが期待されている。

 両者は実証を通じて新たなデジタルソリューションを開発し、鉄道業界への展開を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名東急電鉄
業種交通
地域東京都渋谷区(本社)
課題熟練技術者を含む従事者の減少や車両・駅構内・沿線でのトラブルの増加が懸念される
解決の仕組み車両や沿線に設置したカメラの映像をローカル5G回線を使って伝送し、AI(人工知能)技術で解析したりリアルタイムに司令所や運転士に伝えたりすることで、線路設備の異常や踏切でのトラブルなどを遠隔から早期に把握できるようにする
推進母体/体制東急電鉄、横浜高速鉄道、住友商事
活用しているデータ電車内に設置した4Kカメラの映像、沿線に設置したカメラで撮影した線路敷地内や踏切の映像
採用している製品/サービス/技術ローカル5G、AI(人工知能技術)技術
稼働時期2022年12月(実証実験の開始時期)