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積水化学、材料開発へのマテリアルインフォマティクス導入で日立と協創

DIGITAL X 編集部
2023年1月13日

積水化学工業は、材料開発へのマテリアルズインフォマティクス(MI)の導入に向けて日立制作所と協創する。量子コンピューティング技術の導入や実験用のデジタルツインの整備などに進め、新材料の開発を加速し研究開発の効率を高める。2022年9月20日に発表した。

 積水化学工業は、新材料の開発を加速し研究開発の高度化を推進するために、材料の特性や知見をAI(人工知能)などによるデータ分析から得るマテリアルズインフォマティクス(MI)を導入する。そのために日立製作所と協創する。

図1:マテリアルズインフォマティクス(MI)推進に向けた積水化学と日立製作所の協創のイメージ

 MIの導入に向けては、配合や解析など現場の実験データと、社内外から得る開発のための知見(ナレッジ)を自動で収集・整理・蓄積・統合できるようにし、それぞれをデジタルツインとナレッジベースとして研究者が活用できる環境を構築する。

 そのための日立との協創では、機能性材料を対象にした研究へのMIの有用性を検証する。具体的には、(1)量子コンピュータを擬似的に再現するCMOSアニーリングの適用、(2)実験用のデジタルツインの構築、(3)材料開発ナレッジベースの構築である。

 CMOSアニーリングの適用では、新材料の開発サイクルの短縮と高度化を目指す。多くの選択肢の中から最適な条件の組み合わせを高速かつ高精度に予測し、材料開発における複雑な配合設定を可能にする。

 実験用のデジタルツインの構築では、OT(Operational Technology:運用・制御技術)データとITデータを紐付け、材料開発の実験現場における各プロセスと、そこから得られるデータをデジタル環境上に再現し、結果の解釈や意思決定までのスピードを高める(図2)。紐づけには日立製の「IoTコンパス」を用い、試料合成や計測といった実験過程で生まれるデータと実験ワークフローを関連づけて、データ収集や解析の自動化を進める。

図2: MIを推進するための実験デジタルツインのイメージ

 材料開発ナレッジベースの構築では、社内外のデータ収集・整理をAI技術を使って自動化し、国や研究機関が公開するデータベースと統合する。情報の信頼性を高めるために、統合による既存データの不足を自動的に補完するほか、正しい情報を整理できたかといった不確実性をAI技術で評価する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名積水化学工業
業種製造
地域大阪市北区(大阪本社)
課題新材料の開発を加速し、研究開発の効率を高めたい
解決の仕組み実験デジタルツインやナレッジデータベースを構築し、材料開発にマテリアルズインフォマティクス(MI)を導入する
推進母体/体制積水化学工業、日立製作所
活用しているデータ材料データ、実験データ
採用している製品/サービス/技術CMOSアニーリング、「IoTコンパス」(いずれも日立製作所製)
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