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岐阜県恵那市、環境価値のクレジット化にブロックチェーン技術の活用を実証実験

ANDG CO., LTD.
2023年1月13日

岐阜県恵那市が、再生可能エネルギーの発電・売電事業による環境価値を、経済的価値を持つクレジットに変換するためための実証実験に2022年10月から取り組んでいる。ブロックチェーン技術を利用する。地域経済の活性化と再生エネルギーの導入拡大につなげるのが目的だ。2022年9月20日に発表した。

 岐阜県恵那市が実験しているのは、地域新電力会社の再生可能エネルギーを使った発電・売電事業で生まれた環境価値を、経済的な価値を持つクレジットに変換するための脱炭素・経済循環システム(図1)。クレジットを活用し、市外からの資金を還流する仕組みを構築することで、地域経済の活性化と再生エネルギーの導入拡大につなげたい考えだ。

図1:岐阜県恵那市が目指すゼロカーボンシティの概要

 恵那市は日本ガイシとの合弁で地域新電力会社の恵那電力を設立している。2022年4月からは、恵那電力の再生エネルギーによる発電から消費、余剰電力の貯蔵までのプロセスをブロックチェーン技術を使って監視する「再エネ流通記録プラットフォーム」(リコー製)の実証に日本ガイシとリコーとともに取り組んみ、恵那市の公共施設で自家消費された再エネ電力量を監視し、CO2削減量から市が保有する環境価値を明らかにしてきた。

 2022年10月からの実証では、「環境価値管理プラットフォーム」(IHI製)を使って、先の実証で明らかにした環境価値を、ブロックチェーン技術で記録・可視化することで、国の認証制度である「J-クレジット制度」を通してクレジット化する。

 クレジット化した環境価値は、市内の事業者や生産者に売却し、環境価値を付加したカーボンオフセット商品の開発を促進し、恵那市の環境ブランド力を高めていく。

 将来的には、実証で得た市外からの資金を原資に、再生エネルギーの導入や省エネルギー化の促進につなげ、「環境と経済の好循環スキーム」の確立を目指すという。

 環境価値とは、再生エネルギーの利用や省エネルギーによってCO2排出量の削減に付与される価値のこと。J-クレジット制度では、CO2の排出削減や吸収を国が認証し、環境価値をクレジット化する。しかしクレジット化では、再エネの発電量・利用量と、それに対応するCO2削減量の把握が難しく、申請も煩雑だという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名岐阜県恵那市
業種公共
地域岐阜県恵那市
課題環境価値を付加したカーボンオフセット商品の開発を促進し、恵那市の環境ブランド力を高めたい
解決の仕組み環境価値をブロックチェーン技術で記録・可視化し、J-クレジット制度によるクレジット化の効率を高められる仕組みを構築する
推進母体/体制岐阜県恵那市、恵那電力、日本ガイシ、リコー、IHI
活用しているデータ再生エネルギーによる発電、消費、余剰電力の貯蔵のデータ
採用している製品/サービス/技術「再エネ流通記録プラットフォーム」(リコー製)、「環境価値管理プラットフォーム」(IHI製)
稼働時期2022年10月(環境価値管理の実証実験の開始時期)