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大林組、これからのモビリティに対応する道路やインフラのための要素技術を開発へ

DIGITAL X 編集部
2023年1月27日

大林組が、EV(電気自動車)など新たなモビリティの普及に対応するための道路やインフラを構築するための要素技術の開発に取り組んでいる。自動車との通信や給電などを対象に、大林組技術研究所が各種技術を持つ企業や団体と共同で開発し実証実験を実施する。2022年9月26日に発表した。

 大林組が開発するのは、EV(電気自動車)など今後のモビリティに対応した道路やインフラを構築するための技術。走行中のクルマとのネットワークの確保やEVへの走行中の給電といった機能を実現し、カーボンニュートラルやウェルビーイング(幸福感)といった社会課題の解決への貢献を目指す(図1)。そうした道路やインフラを同社は「e-MoRoad(イーモロード)」と呼んでいる。

図1:大林組が目指す道路とモビリティ/インフラの構築イメージ

 e-MoRoadのための技術は、研究開発を担当する大林組技術研究所(東京都清瀬市)が、必要な技術に通ずる企業や団体と共同で開発する。ターゲットとして、(1)走行中のEVに非接触で給電できる道路の舗装技術、(2)道路に電力・情報ネットワーク網を構築する技術、(3)自動運転を支援する道路インフラ技術、(4)MaaS(Mobility as a Service)システムの運用技術の4項目を挙げる。

 非接触給電のための舗装技術はデンソーと共同で開発する。道路の浅い層にデンソーが開発した給電パネルを埋設し、大林組が開発した繊維補強コンクリート「ユニバーサルクリート」で保護する。実証実験では、厚さ数センチの埋設による給電効率の向上を検証する(図2)。

図2:走行中のEV(電気自動車)に非接触給電する道路舗装技術のシステム構成

 電力・情報ネットワーク網の構築技術は古河電気工業と共同で開発する。両社で開発した雨水側溝とケーブルを収納する「雨水側溝兼用トラフ」を使い、道路の構造を変えることなく配電線路を構築できるようにする。実験では、雨水の排水性や耐久性、施工性を検証する(図3)。

図3:雨水側溝兼用トラフの外観

 自動運転を支援する道路インフラ技術は、タジマモーターコーポレーション、名古屋大学、エクセイド、ダイヘンと共同で開発する。レベル3(ドライバーが必要に応じて操作する条件付き自動運転)で運行する自動運転車が停車中に非接触給電システム経由で支援情報を送る(図4)。給電用の効率的なルートや、停止位置で接地する給電コイルの面積を検証し、システムコスト低減を図る。

図4:自動運転車と停車中非接触給電

 MaaSシステムの運用技術は、名古屋大学とライフアンドモビリティと共同で開発する。MaaSの予約・管理機能を実現し、街全体でのモビリティの有用性を高める新サービスの創出や、自動運転車やキックボードといったマイクロモビリティを統合するデータ連携基盤などを検証する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大林組
業種製造
地域東京都清瀬市(大林組技術研究所)
課題EV(電気自動車)などの新しいモビリティに対し、カーボンニュートラルやウェルビーイングといった社会課題に対応できる道路やインフラが必要になる
解決の仕組みクルマとの通信や非接触給電などに対応した道路やインフラを構築するための要素技術をパートナーと共同開発する
推進母体/体制大林組、デンソー、古河電気工業、タジマモーターコーポレーション、名古屋大学、エクセイド、ダイヘン、ライフアンドモビリティ
活用しているデータ走行中のEVの位置情報、マイクロモビリティの利用予約情報、MaaSシステムの管理情報など
採用している製品/サービス/技術給電パネル(デンソー製)、繊維補強コンクリート「ユニバーサルクリート」(大林組製)、雨水側溝兼ケーブル収納トラフ「雨水側溝兼用トラフ」(大林組と古河電気工業の共同開発)
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