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中部電力、変電所での屋外保守・点検作業を支援するARシステムを検証

佐久間 太郎(DIGITAL X 編集部)
2023年2月16日

中部電力は、変電所の屋外で実施する保守・点検作業における操作手順などをAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を使ってタブレット表示するシステムの効果を検証した。設備の場所や操作手順などを表示し、作業員の安全を確保しながらの作業を可能にする。2022年10月25日に発表した。

 中部電力が検証したのは、変電所の屋外での保守・点検作業を対象にした業務支援システムの効果。設備の場所や操作手順などをAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いてタブレットに表示する(図1)。作業員の安全確保を目的に、ARの表示や作業者を目的の設備に誘導する機能の精度を確認した。

写真:中部電力が検証したAR技術を使った設備点検のイメージ

 ARによる表示のために、変電所の画像をデジタルツインを構築した。3D(3次元)カメラで撮影した変電所の点群データを使っている。それを空間コンピューティング技術により補正することで、変電所の屋外空間を、昼夜の違いによる明暗差や天候、日照などの影響を抑えてARでの表示を可能にした。

 今回の検証に先立ち中部電力では、同様の仕組みを電力送配事業会社の中部電力パワーグリッドの変電所の屋内設備を対象に2021年6月に検証している。今回は、それが屋外設備にも適用できるかどうかを検証したものである。

 3Dカメラには、3Dデータ活用基盤を開発する米Matterportの「Matterport Pro2」を、データの補正にはCAD(コンピューターによる設計)ソフトウェアなどを手掛ける米PTCの「Vuforia Engine Area Targets」を、それぞれ使用している。AR表示の仕組みは、AR /VR(Virtual Reality:仮想現実)ソリューションを開発するプレミアムアーツ製を用いた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名中部電力
業種公共
地域名古屋市東区(本社)
課題変電所設備の保守・点検を作業員の安全を確保しながら実施したい
解決の仕組み変電所のデジタルツインを構築し、AR技術を用いて、設備の場所や操作手順などをガイドする
推進母体/体制中部電力、米Matterport、PTCジャパン、プレミアムアーツ
活用しているデータ変電所の3D 点群データ
採用している製品/サービス/技術3Dカメラ「Matterport Pro2」(米Matterport製)、空間コンピューティング技術「Vuforia Engine Area Targets」(米PTC製)、ARシステム(プレミアムアーツ製)
稼働時期2021年6月(屋内設備での検証時期)