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住友電工、製品の不良判定用AIの学習に疑似不良データを利用

DIGITAL X 編集部
2023年3月23日

住友電気工業(住友電工)は、不良品の発見に用いるAI(人工知能)システムの学習において、実在する不良データそっくりの疑似不良データを生成する技術を導入している。使用する不良画像数を5分の1に削減、AIシステムの開発期間は8割短縮できたという。2022年9月28日に発表した。

 住友電工は、自社製品の不良品発見に不良判定AI(人工知能)システムを利用している。同システムの学習において、不良データを代替する疑似不良データを生成する技術を導入した。2種類の製品に対した検証では、少量の不良画像から疑似不良画像を大量に生成できた(図1)。疑似不良画像を使った学習では、必要な不良画像の数を5分の1に削減、不良判定AIの開発期間は8割の短縮ができたという。

図1:2製品における正常画像と不良画像、および疑似不良画像の例

 不良判定用のAIシステムの開発には、不良判定が苦手なパターンを得る技術である「弱点トレーニング・ループ」を使っている。2021年12月から、GAN(Generative Adversarial Networks:敵対的生成ネットワーク)技術を使ったAIプラットフォームの開発を手掛けるデータグリッドと共同開発してきた(図2)。

図2:不良判定が苦手なパターンを得る「弱点トレーニング・ループ」によりAIシステムの開発期間を短縮する

 同技術の開発に疑似不良データによる学習を繰り返した。疑似不良データは、GAN技術を使い、実際の不良データを学習して、その特徴を抽出することで生成している。

 住友電工によれば、不良品を熟練作業員と同じレベルで検知できるAIシステムの開発には500枚程度の不良画像が必要になる。だが、それだけの不良画像は不良の発生頻度が低い現場では取得が難しく、年単位の時間がかかるとみられている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名住友電気工業
業種製造
地域大阪市中央区(本社)
課題製品不良を判定するAIシステムを短期に開発したいが、不良の発生頻度が低い現場では、AIシステムの学習に必要な大量の不良画像の収集が難しい
解決の仕組み疑似的な不良画像生成技術を使って学習させる
推進母体/体制住友電気工業、データグリッド
活用しているデータ製品の不良データ、少量の不良データから生成した疑似不良データ
採用している製品/サービス/技術疑似不良生成技術(データグリッド製)、苦手克服学習技術(住友電気工業とデータグリッドが共同開発)
稼働時期−−