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竹中工務店、既存ビルをCO2排出量減らせるスマートビルに改修する仕組みを自社ビルで検証

DIGITAL X 編集部
2023年3月31日

竹中工務店が、オフィスビルの脱炭素化を推進するプロジェクトに取り組んでいる。その一環として、既存のオフィスビルをスマート化しCO2排出量を削減する仕組みの検証をグループ会社のアサヒファシリティズとで実施した。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーで得た情報を基に建物の空調や換気を制御する。2022年10月12日に発表した。

 竹中工務店が実施したのは、東京都江東区にある築23年の既存オフィスビルのスマート化。オフィスビルの脱炭素化を推進できるよう、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の仕組みを使って、空調の吹出口や自然換気口の開閉を自動で制御できるようにした。改修したビルは「竹中セントラルビル サウス」として2022年10月3日に開業し、グループ会社7社が入居する(写真1)。

写真1:竹中工務店がスマートビルに改修した「竹中セントラルビル サウス」

 スマート化に向けては、ビル管理の基盤として自社開発する建物OS「ビルコミ」を使ったクラウドサービス「ビルコミプラス」を導入した(図1)。設備の稼働データを取得するIoT機器や、そのネットワーク、各種制御のための仕組みや状況の可視化機能などからなる。ビルの設備そのものを入れ替えるのではなく、建物OSのアップデートにより、建築・設備システムの運用性を高められるという。

図1:ビルコミプラスの導入による建物管理の概要

 ビルコミプラスでは、CO2測定センサーなどのIoT機器で取得したデータをAI(人工知能)技術で分析し、外気の取り込み量を制御したり自然換気したりする。併せて、建物外装の高性能化や高効率熱源の導入、照明のLED化、太陽光発電の導入などの省エネ化を図ることで、CO2排出量を改修前実績値と比較して約50%削減できると見込んでいる。

 建物内には集中管理センターを設置し、IoT/AIのほか、ロボットも活用し設備管理に加え警備や清掃などの業務効率も高める(写真2)。管理センターは、グループ会社で建物維持管理を手掛けるアサヒファシリティズが運用する。

写真2:セントラルビル サウス内に設ける集中管理センター

 竹中工務店らは、本プロジェクトを通じて必要な技術の開発と実践を継続し、既存のオフィスビルを再生するモデルケースとして提案していく。将来的には、画像解析技術を活用し、視環境や温冷感などオフィスで働く人間の感覚に合わせて照明や空調を制御する実証も視野に入れているという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名竹中工務店
業種製造
地域東京都江東区(竹中セントラルビル サウス)
課題脱炭素に向けた社会的要請に対し既存の建物のCO2排出量を削減したい
解決の仕組み建物OSを導入し、IoTセンサーから得られる設備データを分析することで、設備システムの運用性能を高める
推進母体/体制竹中工務店、アサヒファシリティズ
活用しているデータ建物の設備データやCO2測定データなどIoTセンサーから得られるデータ
採用している製品/サービス/技術スマートビルソリューション「ビルコミプラス」(竹中工務店製)
稼働時期2022年10月3日(竹中セントラルビル サウスの開業時期)