• UseCase
  • 公共

ベトナム郵便、EC事業の拡大にそなえ配送計画の自動作成を日立と実証開始

DIGITAL X 編集部
2023年8月21日

ベトナム全土の郵便事業を手がける国営企業Vietnam Post(ベトナム郵便)は、拡大するEC(電子商取引)事業における物流の効率化や顧客体験(CX)の向上に備え、顧客・配送データなどから配送計画を自動作成する仕組みの実証実験を日立製作所と開始した。郵便・物流事業のデータ分析を多角化するためのインフラを構築・整備し、サイロ化しているデータを集約する。日立製作所が2023年7月6日に発表した。

 Vietnam Post(ベトナム郵便)が始めたのは、郵便・物流事業における各種データを集約するためのデータベースの構築と、配送計画の自動作成などの実証実験(図1)。拡大するEC(電子商取引)事業における顧客分析機能を強化したり、配達時間・配送料を最適化し顧客体験(CX:Custmer Experience)を高めたりするのが目的だ。

図1:Vietnam Post(ベトナム郵便)が日立製作所と実施するデータベース構築と配送計画の自動化に向けた実証実験の概要

 主な実験対象は、(1)郵便データベースの構築と、(2)配送ルートの自動生成。郵便データベースの構築では、郵便事業におけるベトナム国内1万3000拠点のデータを統合し、収集から管理、分析までを一元管理できるようにする。分析結果は、配達員、物流管理者、経営層など、それぞれの立場に合わせたレポートとして出力する計画だ。

 配送ルートの自動生成では、物流事業における車両サイズや台数、配送ルートやタイミングなどをの組み合わせ最適な配送計画を作成する。

 前者のデータ統合では、ETL(収集/変換/加工)およびBI(Business Intelligence)ソフトウェアの「Pentaho」(日立製作所製)を使用する。後者では、日立独自のCMOSアニーリング技術を使う。CMOSアニーリングは、量子コンピューターを擬似的に再現する技術である。

 Vietnam Postはこれまで、地理データや車両データ、ECサイトの顧客データなどを紙の資料や個別の業務システムで管理していた。配送計画も、配達員の経験によるところが大きく属人性が高かった。

 実証実験はスモールスタートで進め、その後に全拠点に拡大する予定である。将来的にはCMOSアニーリングで算出した配送ルートを配達員に自動通知し個人宅に配送する仕組みを検討している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名Vietnam Post(ベトナム郵便)
業種物流
地域ベトナム
課題拡大するEC(電子商取引)事業にそなえ、属人性の高い配送計画の作成を自動化し必要な人員や車両を最適化するとともに、顧客体験(CX)を高めたい
解決の仕組み拠点やシステムで分散していたデータを統合するデータベースを構築し、データ分析環境を整備するとともに、最適な配送計画をCMOSアニーリング技術により自動で作成する
推進母体/体制ベトナム郵便、日立製作所
活用しているデータ地理データ、配送ルート・車両データ、ECサイトの顧客データ・購買データなど
採用している製品/サービス/技術ETLおよびBIツール「Pentaho」、CMOSアニーリング(いずれも日立製作所製)
稼働時期――