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JR東日本、鉄道の運行情報と気象・防災情報を扱うデジタルツインを構築

DIGITAL X 編集部
2023年12月26日

JR東日本は、鉄道の運行情報と気象・防災に関する情報を扱うデジタルツインを開発し・運用している。それぞれの情報を地図上にリアルタイムに表示することで、鉄道の安全・安定な輸送と利用客や社員の安全確保につなげる。2022年6月から運用していることを2023年10月10日に発表した。

 JR東日本の「JEMAPS(ジェイイーマップス)」は、鉄道の運行情報と気象・防災情報を扱うデジタルツイン(図1)。輸送障害や災害発生時に必要になる情報を社内外のシステムやデータ基盤などから自動で収集し、1つの地図上にリアルタイム表示する。鉄道の安全・安定輸送と利用客・社員の安全確保を目的に自社開発し、2022年6月から運用している。

図1:「JEMAPS」の画面例。ビル状のものが列車の位置を示し、その高さが乗客数の多少を示している

 JEMAPSを使って同社は、大雨や地震の発生時、鉄道の運行状況とともに、気象に関する警報・注意報や、土砂災害・浸水害・洪水の危険度分布などを確認。現場から得た情報と合わせて、顧客と社員の避難を判断するための参考情報として活用する。輸送障害が発生し、列車が駅の中間に長時間停車することが予期される際は、JEMAPSで確認した運行中の列車の位置と混雑状況を参考に、乗客の救済計画を立案する(図2)。

図2: JEMAPSの「走る列車グラフ」。写真は山手線の例

 社内の防災訓練にも活用する。例えば、首都直下地震の発生を想定した防災訓練では、列車の運行状況や推定震度分布を確認することで、訓練の臨場感を高め、社員の災害への対応能力を高めている。

 JEMAPSが現在、対象にしているのは首都圏と新幹線、地方の一部線区を走る列車。扱うデータとしては、社内データには、新幹線・在来線の列車在線位置や、列車混雑情報、線路の運行状況、山手線各駅の改札機の通過データがある(図3)。社外データとして、天気や気温、降水量・降雪量、台風、噴火・降灰情報、気象警報・注意報、土砂災害・浸水害・洪水の危険度分布、推定震度分布、津波警報・注意報などを収集する。いずれのデータもデータベースに保管し、履歴検索ができる。

図3: JEMAPSが収集・表示する社内データと社外データ

 2024年度には、対象をデータを取得可能な同社線区にまで広げる予定である。新たな気象情報として雷の情報を追加する。併せて、他の鉄道会社や他企業・自治体などとの連携、スマートフォン用アプリケーションやデジタルサイネージを使った顧客への情報提供といった活用方法も検討している。

 JR東日本は以前から、鉄道の運行情報や気象・防災情報など社内外のデータを収集し、安全・安定輸送や安全確保のための意思決定に活用してきた。ただ個々のデータは、社内システムや社外のホームページなど、別々の情報源から取得しているため、データの集約に大きな労力がかかっていたという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名JR東日本
業種交通
地域東京都渋谷区(本社)
課題鉄道の運行情報および気象・防災情報などを鑑み、安心・安全な運行を実施したいが、必要なデータの取得・集約に労力がかかる
解決の仕組み運行情報および気象・防災情報を扱うデジタルツインを構築し、必要なデータを社内外のシステムやデータ基盤などから自動収集し、1つの地図上に表示する
推進母体/体制JR東日本
活用しているデータ鉄道の運行関連情報(新幹線・在来線の列車在線位置や、列車混雑情報、線路の運行状況、山手線各駅の改札機の通過データ)、気象・防災に関する情報(天気や気温、降水量・降雪量、台風、噴火・降灰情報、気象警報・注意報、土砂災害・浸水害・洪水の危険度分布、推定震度分布、津波警報・注意報など)
採用している製品/サービス/技術デジタルツイン
稼働時期2022年6月(運用開始時期)