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トヨタTDC、データ分析の前処理時間をNEC製ツール使い6割削減
トヨタグループのトヨタテクニカルディベロップメント(TTDC)は、自社のAI(人工知能)フレームワークにおいて、NECが提供するテーブルデータ分析用ライブラリーを高速化するツールを使うことで、データ解析時間を6割、解析用PCの稼働時間を7割強削減した。ツールを提供するNECが2023年10月19日に発表した。
トヨタテクニカルディベロップメント(TTDC)は、トヨタグループにあってIP(知的財産)事業や計測シミュレーション事業を手掛けている。自社製のAI(人工知能)フレームワーク「Spicy MINT」において、NECが提供するテーブルデータ分析用ライブラリーを高速化するツール「FireDucks」のベータ版を適用したところ、データ解析時間を60%、解析用PCの稼働時間を76%、それぞれ削減できたという。
FireDucksは、プログラミング言語の「Python」において、テーブルデータ分析用ライブラリー「pandas」の処理を高速化するためのソフトウェア。データ分析に必要なデータの前処理を高速化することで、データサイエンティストの業務時間を約30%削減し、コンピューティングコストを低減できるという。それにより省電力化やCO2削減など環境課題の解決にもつながるとしている。
高速化のためにFireDucksは、マルチコアCPUの全コアを利用してデータを並列で処理する。さらに、プログラム通りの範囲や順番ではなく、必要な処理の全体から結果を出すのに必要なデータを事前に把握し、そのデータだけを処理する(図1)。これらにより、pandasで作成するソフトウェアプログラムを最大で16倍、平均で約5倍高速化できるとする。
NECはFireDucksのベータ版を2023年10月19日から無償公開している。TTDCでの取り組みは、公開を前に実施した結果だ。今後は、β版での有効性を実証しながら機能改良を進め、2024年度中の事業化を目指す。
NECによれば、データサイエンティストはデータ分析の前処理に業務時間の約45%を費やしている。データの増加とAIやML(機械学習)の高度化に伴い計算量が増え、クラウドなどの計算コストや、それに起因する消費電力やCO2排出量の増加が問題になっている。
企業/組織名 | トヨタテクニカルディベロップメント |
業種 | 製造 |
地域 | 愛知県豊田市(本社) |
課題 | データ分析における前処理に掛かる時間や計算コストが増加している |
解決の仕組み | プログラミング言語の「Python」において、テーブルデータ分析用ライブラリー「pandas」の処理を高速化するためのソフトウェアを使って前処理時間を短縮する |
推進母体/体制 | トヨタテクニカルディベロップメント、NEC |
活用しているデータ | データ分析に利用するデータ |
採用している製品/サービス/技術 | テーブルデータ分析用ライブラリー「pandas」の処理を高速化するためのソフトウェア「FireDucks」(NEC製) |
稼働時期 | −− |