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安藤ハザマ、重機の自動運転と遠隔操作を切り替えての現場作業を検証

DIGITAL X 編集部
2024年1月9日

安藤ハザマは、重機の自動運転の実装に向け、自動運転と遠隔操作を切り替えながら稼働させる検証をコベルコ建機と共同で実施した。走行移動や土砂の積み込み作業を安全に実施できることを確認できたという。建設現場の生産性向上に向け、さらなる自動運転技術の実装を目指す。2023年12月13日に発表した。

 安藤ハザマはコベルコ建機と共同で実施したのは、2台重機(油圧ショベル)を対象に、自動運転と遠隔操作を切り替えながらの現場作業の検証(図1)。作業内容に応じて自動運転と遠隔操作を切り替えたり、1台の重機を自動運転させている間に、1台の重機の自動運転を遠隔操作で設定したりした。

図1:自動運転による土砂積み込み作業の様子

 具体的には、現場から離れたコックピットから2台の重機を同時に稼働させ、ダンプトラックへの土砂積み込み作業を実施した(図2)。駐機場所からの移動や土砂積み込みの準備作業などは遠隔で操作し、単純な繰り返しになる土砂積み込み作業は自動運転とした。

図2:遠隔操作システムと自動運転技術の複合検証イメージ

 なお検証エリアは、重機のみが稼働する「無人エリア」、重機と人が混在する「混在エリア」、人が存在する「有人エリア」の3つに定義した(図3)。そのうえで、重機と人が接触する可能性がある混在エリアでは、人が重機に接近すれば重機を非常停止させるルールを策定した。

図3:検証エリアはリスクアセスメントに基づき3つに区分

 2台の重機には、コベルコ建機が提供する遠隔操作システム「K-DIVE」に開発中の自動運転機能を追加した仕組みを搭載した。結果、事前設定したルールに基づいて自動運転と遠隔操作による作業を安全に完了し、遠隔操作と自動運転の組み合わせで作業現場の生産性を高められることを確認できたとしている。

 今回の検証は、国土交通省が募集した「建設機械施工の自動化・遠隔化技術に係る現場検証」に参画したもので、2023年7月に実施した。両社は今後、K-DIVEへの自動運転技術の作業現場への適応性のさらなる向上に取り組む考えだ。

 両者によれば、建設業界では生産性向上と働き方改革を両立させるための技術として、建設機械の自動化や遠隔化が期待されている。一方で、これら技術の実現には安全や品質、施工管理、技術開発などの面で新たなルールの確立が必要になる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名安藤ハザマ、コベルコ建機
業種製造
地域東京都品川区(安藤ハザマの本社)、千葉県市川市(コベルコ建機の本社)
課題建設業界の生産性向上と働き方改革を実現するに、建機の自動化と遠隔化を組み合わせて活用したい。そのために必要な、安全や品質、施工管理、技術開発などに関する新ルールを確立したい
解決の仕組み遠隔操作の機能に自動運転技術を追加し、事前に定めたルールにもとづいて作業できるようにする
推進母体/体制コベルコ建機、安藤ハザマ
活用しているデータ重機の稼働データ
採用している製品/サービス/技術遠隔操作の仕組み「K-DIVE」、自動運転技術(いずれもコベルコ建機製)
稼働時期2023年7月(実地検証の時期)