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資源メジャーの豪BHP、鉱山用車両のタイヤのメンテナンス時期をAI判定
世界最大級の資源メジャーである豪BHPは、鉱山で使用している車両のタイヤのメンテナンス時期をAI技術を使って判定するサービスを2023年7月から導入している。鉱山オペレーションの生産性を向上させることが狙い。サービスを提供するブリヂストンが2023年11月9日に発表した。
BHPは、オーストラリアに本社を置く世界最大級の資源メジャー。オーストラリアや南米に鉱山を保有し、鉄鉱石や銅、ニッケルを採掘している。今回、チリに保有するPampa Norte Spence鉱山において、鉱山用車両のタイヤのメンテナンス時期をAI(人工知能)技術を使って判定するサービスの利用を2023年7月に開始した(写真1)。
導入したサービスは、ブリヂストンが鉱山事業者向けに提供するもので、タイヤモニタリングシステム「Bridgestone iTrack」が取得するタイヤの温度や空気圧、車両位置や走行速度などのデータと、タイヤの装着履歴を基にタイヤの耐久度を予測し、最適なメンテナン時期と車両運行ルートを導き出す。ブリヂストンは広範な温度環境下での適正な内圧充填をサポートするサービスも提供する。
これらによりBHPは、タイヤにかかるコストと車両を利用できない期間を削減し、現場の生産性向上と経済価値の最大化を推進する。タイヤを安全に長く使用できればタイヤの使用本数を減らせることから資源生産性の向上によるサステナビリティへの貢献も期待する。
Spence鉱山の鉱山プロダクションマネージャーは、「タイヤの性能を改善し1本1本をより長く上手に使うことに加えて、鉱山全体の生産性の改善と廃棄物の削減を実現したい。最適なタイヤメンテナンスの実施と予定外の生産停止を防ぐためにブリヂストンと協働することを決定した」としている。
Spence鉱山では銅を生産している。銅はEV(電気自動車)や住宅・家電などに使用されており、今後、数十年にわたって高い需要が見込まれている。確実で効率的な供給のためには鉱山の生産性向上が求められる。そのなかで鉱山用車両のタイヤが予期せぬダメージを受けると、計画外の修理やタイヤ交換などのメンテナンスが発生し、車両運行効率が下がったりコストが増えたりすることが課題になっている。
ブリヂストンは、鉱山車両用タイヤ「Bridgestone MASTERCORE」を提供しているが、そこにデジタルサービスを組み合わせることで、鉱山業務の最適化を支援しようとしている。BHPが採用したサービスでは、タイヤに関する経験・知見とAI技術などを融合し独自のアルゴリズムを開発し、タイヤの摩耗予測を強化した。
企業/組織名 | 豪BHP |
業種 | 製造 |
地域 | チリ(Pampa Norte Spence鉱山) |
課題 | 鉱山車両のタイヤが予期しないダメージを受けると計画外の修理・タイヤ交換などが発生し、現場の作業効率が低下したりコスト増につながったりする |
解決の仕組み | タイヤの温度や空気圧、車両位置や走行速度などのデータと、タイヤの装着履歴からタイヤの最適なメンテナンス時期を予測し、予期せぬダメージを減らす |
推進母体/体制 | 豪BHP、ブリヂストン |
活用しているデータ | タイヤの温度や空気圧、車両位置や走行速度などのデータ、タイヤの装着履歴 |
採用している製品/サービス/技術 | タイヤモニタリングシステム「Bridgestone iTrack」(ブリヂストン製) |
稼働時期 | 2023年7月(チリのPampa Norte Spence鉱山での導入時期) |