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住友林業、自社構法における構造設計業務をAI技術により全自動化

DIGITAL X 編集部
2024年1月22日

住友林業は独自のビッグフレーム構法における構造設計を全自動化したシステムを開発し、子会社の住友林業アーキテクノでの運用を開始した。居住性や耐震・耐風性などを考慮してAI(人工知能)技術により最適な構造部材を選定することで、CAD(コンピューターによる設計)への入力作業を従来の5時間から10分程度に短縮する。2023年12月25日に発表した。

 住友林業が開発したのは、木質梁勝ちラーメン工法を用いた同社独自のビッグフレーム構法における構造設計を全自動化したシステム。建物の形状や柱・梁の位置などの構造計画を元に、居住性や耐震・耐風性、施工性、製造コストなどを考慮した最適な構造部材をAI(人工知能)技術を使って選定する(図1)。これにより、構造設計者がCAD(コンピューターによる設計)を使って実施する構造設計業務の全自動化を実現した。

図1:ビッグフレーム構法における設計業務を全自動化した

 新システムは、子会社の住友林業アークテクノで実運用を始めている。これまで約5時間かかっていた構造設計業務におけるCADへの入力作業を10分程度にまで短縮。結果の確認に要する時間も短縮できるほか、最適な施工手順や材料の歩留まりを考慮しているため、施工精度の向上や製造コストの削減にも寄与するとしている(図2)。システム活用により、構造設計者の知識や経験によってバラツキのあった業務プロセスを標準化し、構造設計の作業効率を改善できたという。

図2:住友林業アーキテクノにおける構造設計業務と全自動化範囲

 住友林業アーキテクノではこれまで、構造計算や建物の安全性に関する技術基準を満たすために多大な時間を費やし、納期の調整や人材確保に苦慮していた。構造設計に要する作業時間は設計者の力量に依存するため、業務プロセスの標準化が課題だった。

 住友林業は今後、柱や梁の適切な配置を考える構造計画作業の全自動化も図る考え。日々の業務で蓄積した構造設計データやAI技術を活用し、さらなる作業時間の短縮を図る。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名住友林業
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題建物の構造設計に多大な時間を費やしているうえ、構造設計者の知識や経験によって業務プロセスにバラツキがある
解決の仕組み居住性や耐震・耐風性などを考慮して最適な構造部材を選定できるシステムを開発し、構造設計業務の全自動化を図り、業務プロセスの標準化を進める
推進母体/体制住友林業、住友林業アーキテクノ
活用しているデータ居住性、耐震・耐風性、施工性、製造コストなど建物の構造設計に用いる情報
採用している製品/サービス/技術AI技術
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