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日本瓦斯、ガスの保安・点検業務における遠隔化や訪問時期の最適化を図るシステム基盤を構築、外販も

DIGITAL X 編集部
2024年2月9日

日本瓦斯(ニチガス)は、ガス事業者における保安・点検効率を高めるために、点検員の訪問業務を対象にしたシステム基盤を開発し、2023年12月に本格稼働させた。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を組み合わせた遠隔保守も開始する。同基盤は同業他社にも外販する。システムを開発したフューチャーアーキテクトが2024年1月23日に発表した。

 日本瓦斯(ニチガス)が稼働させたのは、ガス事業における保安・点検業務を対象にした「スマート保安プラットフォーム」。訪問先とのアポイントメントの取得から、点検員の訪問計画、当日の点検実施までを総合的にサポートする(図1)。同業務は法律で実施が義務付けられているため、システムによって同業務の効率を高めるのが目的だ。

図1:スマート保安プラットフォームの管理画面

 スマート保安プラットフォームを利用する点検員には、専用のスマートフォン用アプリケーションを用意する。点検員が効率的に訪問できるよう、訪問ルートや時間帯を自動で計画し、スマホアプリに表示する。

 個々の点検員は、その日の訪問計画の確認や、作業の開始時間の入力、漏えい検査や燃焼器点検といった調査内容の報告などをスマホ上で完了できる(図2)。ユーザーインタフェースの開発では、点検員へのヒアリングを元に入力項目やメニューの表示方法などを精査したとしている。

図2:点検アプリケーションの画面例

 プラットフォームの稼働に伴い、都市ガス事業においては遠隔から点検する「リモート保安」サービスも開始した。同社がソラコムと共同開発したIoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイス「スペース蛍」で取得したメーター情報からガスの供給状況を判定する。

 スマート保安プラットフォームは、他のLPガス/都市ガス事業者にも外販する。マイクロサービスの技術を使うことで、必要な管理項目に変更が生じても設定変更だけで対応できることから、他の事業者にも提供可能になったという。

 ニチガスは、自社の事業インフラを同業他社などと共有する「エネルギープラットフォーム事業」を展開する。スマート保安プラットフォームの開発は同事業の強化の一環でもある。同事業は、人手不足や原材料価格の高騰、脱炭素化といったエネルギー業界全体の課題解決と成長力の強化につながるとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本瓦斯(ニチガス)
業種公共
地域東京都渋谷区(本社)
課題法律で義務付けられたガス事業における保安点検業務の効率を高めるとともに、その仕組みの外販を図りたい
解決の仕組み需要家とのアポイントメントの取得から点検員の訪問計画、当日の点検実施まで総合的にサポートするシステムを構築する
推進母体/体制日本瓦斯、フューチャーアーキテクト、ソラコム
活用しているデータ需要家の存在エリア、点検員の訪問履歴と保守点検の実績、需要家とのアポイントメント情報、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイス「スペース蛍」で取得したガスメーター情報など
採用している製品/サービス/技術訪問計画最適化エンジン(フューチャーアーキテクト製)、IoTデバイス「スペース蛍」(ニチガスとソラコムが共同開発)
稼働時期2023年12月(本格稼働時期)