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東洋建設、浚渫(しゅんせつ)土砂の積み込み位置を画像AIで判別するシステムを富士通と開発

DIGITAL X 編集部
2024年3月12日

東洋建設は、港湾などでの浚渫(しゅんせつ)工事において、取り除いた土砂を運搬船のどこに積み込めば良いかを画像からAI(人工知能)技術で判別するシステムを富士通と共同開発した。目視による積み込み位置の指示作業を削減するのが目的。2024年1月29日に発表した。

 東洋建設が開発した「AI Loading Navi」は、浚渫(しゅんせつ)工事において、取り除いた土砂の運搬船への積み込み位置を判別するためのAI(人工知能)システム。土砂を運ぶ船の船倉部を撮影した画像から、船倉のどこに積み込むのが適切かを分析し、土砂を汲み取るグラブショベルのオペレーターに指示する(図1)。

図1:土運船上の積み込み位置と、設備および測定機器のイメージ

 浚渫は、港湾や河川などで水底に堆積した土砂を汲み出し、必要な水深を確保する工事。そこで扱う土砂は、一緒に引き上げた水を多量に含み、船倉に土砂自体はどれぐらい入っているのかなどが水面に隠れ判定が難しい。それを目視していた人手による作業をAI Loading Naviで代替する。目視で指示する作業者が区画付近を移動する範囲が減れば、作業の安全性向上も期待できるという。

 AI Loading Naviは、船倉を映した画像から、土砂、水面、壁などを識別し、区画ごとの土砂の割合から積み込み可能な位置を判別する(図2)。判別には、画像情報のほか、積載量や、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)で測位した喫水高(測位した水面から船底までの垂直距離)も利用している。

図2:AI処理による画像識別と色分けのイメージ

 AI Loading Naviの開発では、過去2年分を画像を対象に、ディープラーニング(深層学習)のアルゴリズムの1種であるセマンティックセグメンテーションにより画素単位で識別したものを教師データにし学習に用いた。今後はグラブ浚渫船と土運船の動き自体を自律化するためのシステムの開発に取り組む。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名東洋建設
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題浚渫(しゅんせつ)した土砂を運搬船のどこに積み込むかを目視で判断しオペレーターに指示しており、作業負荷が高く、安全上の懸念もある
解決の仕組み船倉を撮影した画像をAI技術で分析し、積み込み状態から最適な積み込み位置を判別しオペレーターに直接指示する
推進母体/体制東洋建設、富士通
活用しているデータ船倉を撮影した画像データ、船倉の位置、積載量、喫水高
採用している製品/サービス/技術積み込み支援システム「AI Loading Navi」(富士通との共同開発)
稼働時期--