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国分グループ本社、仕入れ精度を高めるAI発注システムを全物流センターに導入へ

DIGITAL X 編集部
2024年6月14日

酒類・食品専門卸の国分グループ本社は、商品の仕入れ量をAI(人工知能)技術で予測する自動発注システムを約300ある全物流センターに導入する。在庫過多や欠品による販売機会損失を削減するのが目的。既に200強の物流センターに導入し、予測精度が約10%改善したという。システムを開発したDATAFLUCTが2024年5月16日に発表した。

 国分グループ本社が導入するのは、商品の仕入れ量をAI(人工知能)技術で予測する自動発注システム(図1)。若手担当者でも適切な発注ができるようにし、在庫過多や欠品を削減し、売り上げ拡大を図る。これまでに約200の倉庫に導入済みで、予測精度が約10%向上したという。2024年中に全国に約300ある全物流センターに導入する。

図1:国分グループ本社が全倉庫に導入する自動発注システムの概要

 国分グループが扱う商品は約60万アイテム。国内外に約1万の仕入れ先があり、約3万5000の顧客に届けている。全国に約300ある物流センターでは、過去の実績や経験値から需要を予測し、商品を仕入れている。ただイレギュラーな調達業務が発生したりすると発注数の精度にばらつきが生じていた。

 新しい発注システムでは、需要予測に用いるAIモデルに、商品カテゴリに合わせて最適化を図っている。予測時には天気や人流などの外部データも組み合わせており、これら外部要因が日次で変化することを考慮し、AIモデルを高頻度で自動で再学習させている。一般的な需要予測では、AIモデルは一定期間経過後に再学習することが多く、その間の精度の担保が難しい。

 現在対応している商品は、チルドと冷凍、アイス、加工食品などの定番商品。そこでの知見を蓄えながら今後は、新商品や季節商品にも採用するとしている。

 システムは、データ分析などを手掛けるDATAFLUCTの需要予測AI「Perswell」とデータウェアハウス「AirLake」を使って実現した。AirLakeをグループの基幹システムに連携させ、過去の受注実績や現在の在庫数などを取り込んで分析する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名国分グループ本社
業種流通・小売り
地域東京都中央区(本社)
課題イレギュラーは発注業務などが発生すると仕入れ精度が低下し、在庫過多や欠品が発生し、売り上げに影響する。精度の高い発注は、若手担当者には難しい
解決の仕組み受注実績と在庫数に、天気や人流などの外部データを組み合わせてAI技術を使って需要を予測する。外部要因は日次で変化するため、需要予測用のAIモデルの再学習を高頻度に自動で実行する
推進母体/体制国分グループ本社、DATAFLUCT
活用しているデータ酒類・食品の受発注データ、倉庫の在庫データ、天候や人流データなど
採用している製品/サービス/技術需要予測AI「Perswell」、データウェアハウス「AirLake」(いずれもDATAFLUCT製)
稼働時期2024年中(全国に約300ある全物流センターへの導入完了目標)