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クレーン製造の古河ユニック、操縦訓練用のVRシステムをシンフォニアと共同で開発

佐久間 太郎(DIGITAL X 編集部)
2024年6月27日

小型移動式クレーンを製造する古河ユニックは、クレーンの操縦訓練のためのVR(Virtual Reality:仮想現実)システムを開発した。実機設置や訓練機会が限られるクレーンの操作技術を高め事故防止につなげるのが狙い。VR用などのコンテンツを開発するシンフォニアとの協業によるもので、これが第1弾になる。2024年6月24日に発表した。

 古河ユニックは、トラックに搭載できる小型の移動式クレーンのメーカー。このほど、現場では訓練場所が限られるクレーン操作を、VR(Virtual Reality:仮想現実)空間で訓練するためのシステム「小型移動式クレーンVRトレーニングシステム」を開発した(図1)。事故防止のための操縦技術の取得を促すのが目的だ。同社の佐倉工場で実機操作と比較したテストや体験会などでの実証を経て2024年6月に完成させた。

図1:クレーン操作をVR環境で訓練する「小型移動式クレーンVRトレーニングシステム」のイメージ

 VRトレーニングシステムでは、実機同様の3D(3次元)CAD(コンピューターによる設計)データを使ってクレーンのブーム部分と、操作用コントローラー「液晶ラジコンJOY」(古河ユニック製)をVR空間に再現する。

 訓練者はVRヘッドセットを装着し、コントローラーの実機を手に、ブームの平行移動や伸縮を操作する。操作手順や動作確認のガイドに則って操作すれば、実機における操作感覚を習得できるという(図2)。定格荷重やワイヤーの巻き上げが超過状態になれば、コントローラーの液晶パネルに警告を表示したり、実際の警告音声を流したりして訓練者に知らせる。

図2:VR空間上に再生した操作ガイドの例

 訓練終了後に習熟度を確認するために、練習問題と自由練習の2つのモードを用意する。練習問題では、指定された場所までどれだけ早く操作できるかを測る。自由練習では自由に操作できる。

 VRトレーニングシステムは、VR用コンテンツなどを開発するシンフォニアとの協業で開発した。今回が第1弾の成果で、今後は、物流・建設業者にシステム導入を勧めるとともに、VRを使った操縦トレーニングの業界での一般的な手法としての定着を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名古河ユニック
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題クレーンの操縦訓練では実機の配置が難しく、訓練場所や機会確保が限られる
解決の仕組みクレーンの操作環境をVR(仮想現実)空間に再現し、実機のコントローラーを操作しながら訓練ができるようにする
推進母体/体制古河ユニック、シンフォニア
活用しているデータクレーンやコントローラーの3D CADデータ、コントローラーの操作データなど
採用している製品/サービス/技術クレーン操作訓練システム「小型移動式クレーンVRトレーニングシステム」(古河ユニックとシンフォニアが開発製)、クレーン操作コントローラー「液晶ラジコンJOY」(古河ユニック製)
稼働時期2024年6月(開発完了時期)