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出光興産、プラントの遠隔監視や予防保全を視野に運用データの統合基盤を全拠点に導入へ

佐久間 太郎(DIGITAL X 編集部)
2024年7月4日

出光興産は、プラントの運用データを収集・統合する基盤を全拠点に導入する。サイロ化したIT(Information Technology:情報技術)/OT(Operational Technology:制御技術)システムのデータを一元管理し、プラントの遠隔監視や予防保全などに利用する。データ統合基盤を提供するノルウェーのCogniteが2024年6月27日に発表した。

 出光興産が導入するのは、プラントの運用データを収集・統合するためのクラウド基盤。サイロ化している既存のIT(Information Technology:情報技術)システムやOT(Operational Technology:制御技術)システムなどのデータを一元管理し、遠隔監視などを含めたプラント運用における予測や判断などに利用する(図1)。2024年度中に全事業所に導入し本格運用を開始する予定だ。

図1:出光興産が導入するプラント関連データの統合基盤の位置付けと利用例

 統合したデータの活用例としては、設備の稼働状況を示すダッシュボードを使った遠隔監視や、センサーデータや故障履歴に基づいて予防的に保守業務を実施する予知保全などを挙げる。

 データ統合基盤では、既存システムのデータを、それぞれが持つデータやプロトコルに応じたコネクターを使って接続しデータを収集する。集めたデータは、AI(人工知能)技術や機械学習によりデータ間の関係性を明確にすることで、専門家やエンジニアが必要なデータを使った分析が容易にできるようにする。これまでもデータ統合に取り組んできたが、収集や体系化の方法が属人的で、全体を対象にした分析が難しかった。

 データ統合基盤には、産業データを収集・統合するためのクラウド基盤サービス「Cognite Data Fusion」(ノルウェーのCognite製)を採用した。

 出光興産は中期経営計画において、2030年ビジョン「責任ある変革者」を掲げ、化石燃料事業が主体の事業構造からの転換を目指している。その中核の1つにDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を位置付け、「自走化する強い現場作り」の実現に取り組んでおり、今回のデータ統合基盤の全拠点導入は、その一環。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名出光興産
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題プラント運用に絡む各種システムが持つデータの収集・体系化業務が属人的になり、全体を対象にしたデータの分析が難しく、遠隔監視や予防保全などの実現が遅れている
解決の仕組み各種システムのデータを一元管理し、データの関係性を明確にすることで、専門家やエンジニアがデータを容易に分析できるようにする
推進母体/体制出光興産、ノルウェーのCognite
活用しているデータIT・OTシステムなどが持つデータ、センサーデータや設備の故障履歴など
採用している製品/サービス/技術産業データの収集・統合のためのクラウドサービス「Cognite Data Fusion」(ノルウェーのCognite製)
稼働時期2024年度中(全事業所での本格運用開始の予定時期)