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コマツ、建機の遠隔操作システムを開発し外販

DIGITAL X 編集部
2024年7月3日

建機大手のコマツは、建設機械の遠隔操作システムを、建設業界向けIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤を開発・運営する子会社のEARTHBRAINと共同開発した。建機オペレーターの安全確保や現場への移動コスト削減、複数現場の掛け持ちなど労働生産性を高めるシステムとして外販する。2024年5月21日に発表した。

 コマツが開発した「SMART Construction Teleoperation」は、建設機械を遠隔操作するためのシステム(図1)。遠隔地にある事務所などから現場の建機を操作することで、オペレーターの安全性確保や、移動コストの削減、複数現場の掛け持ちなどを可能にする。アフターサービスやサポートを手がけるコマツカスタマーサポートを介して2024年5月21日より外販している。

図1:「SMART Construction Teleoperation」に対応した油圧ショベル(左)と遠隔地から操作している様子

 SMART Construction Teleoperation(SCT)では、専用コックピットと、SCT対応の建設機械とを、建設業界向けIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤「Smart Constrution」(子会社のEARTHBRAIN製)を経由して連携を図る。建機の取り付けたカメラやセンサーからの情報を、コックピット内の複数のモニターに表示し、オペレーターが現場の状況を確認しながら操作する。ジョイスティックやペダルなどの操作系は実際の建機に近い感覚で操作できるという。

 専用コックピットとしては、(1)インテリジェントサークルと、(2)スペースシップの2種類を用意し、システムの使用条件や環境に合わせて提供する(図2)。インテリジェントサークルでは、オペレーターは円形のきょう体の中央に座り直感的な操作に、スペースシップのオペレーターは円錐型のきょう体の前方に座り、没入感のある操作に、それぞれ向いているという。1台のコックピットから複数台の建機を切り替えながら操作することもできる。

図2:Smart Construction Teleoperationのコックピットには、インテリジェントサークル(左)とスペースシップの2種類がある

 コマツとEARTHBRAINはSCTの量産に向けた現場検証を2023年末から、愛媛県の建設会社オオノ開發の協力のもと取り組んできた。オオノ開發から「遠隔操作時の遅延も少なく、実機で操作しているのと、ほぼ遜色なく操作できる」との評価を得られたことから正式販売を決めた。

 既に新潟県の建設会社である廣瀬が、インテリジェントサークルを使った遠隔操作を始めている。廣瀬は、建設業界のイメージ刷新と働き方改革の推進を目的にデジタル技術の導入・活用を進めており、遠隔操作の導入はその一環という。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名コマツ
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題建機による現場作業は危険を伴い、オペレーターには常に事故リスクがつきまとう。また現場までオペレーターを派遣するには移動費や移動時間がかかる
解決の仕組み建機を遠隔地から操作できるようにする。複数台を操作可能にすることで現場の掛け持ちなど労働生産性を高める
推進母体/体制コマツ、EARTHBRAIN、コマツカスタマーサポート
活用しているデータ建機に設置したカメラの映像やセンサーからのデータなど
採用している製品/サービス/技術建設機械向け遠隔操作システム「SMART Construction Teleoperation」(コマツとEARTHBRAIN製)
稼働時期2024年5月21日(販売開始時期)