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ホンダ、事故回避に向け車両に関連情報を送る情報連携基盤を実証実験

ANDG CO., LTD.
2024年7月9日

本田技研工業は本田技術研究所と共に、交通事故のリスクを予測し、その結果を運転車に通知するための情報連携基盤の実証実験を実施した。モバイル通信を使い必要な情報を通知し事故回避につなげられることを確認したという。情報連携基盤を提供したソフトバンクが2024年6月20日に発表した。

 本田技研工業(以下、ホンダ)が本田技術研究所と共に実施したのは、ネットに常時接続するコネクテッドカーの情報を収集・集約する情報連携基盤の実証実験(図1)。モバイル通信の「セルラーV2X(Vehicle to X)」を使った車両と情報連携基盤との情報共有を検証し、事故のリスクを運転手に通知することで事故を未然に回避できることを確認したという。

図1:ホンダらが実施した車両と情報連携基盤の事故リスク共有のための実証実験の概要

 実験では、高速道路上で、二輪車の運転手が不注意から急に車線を変更したことで並走する車にリスクが及ぶ状況を想定。二輪車と車の位置・速度情報や車両情報と、路側センサーが取得した情報を連携基盤に集約し、道路全体の交通状況をリアルタイムに把握する。車や二輪車と情報連携基盤は、車での使用を想定したモバイル通信「セルラーV2X(Vehicle to X)」でつなぐ。

 集約した情報を基に、ホンダが開発した事故発生の可能性を予測する「リスクアルゴリズム」により数秒先の行動を予測し、リスクがあると判定すると、その結果を車両に対し適切なタイミングで通知する。実験では、二輪車の車線変更により、車両の衝突または急制動のリスクを予測し、二輪車には後方車の存在を、車両には二輪車の車線変更の可能性を、それぞれ通知した。

 セルラーV2Xと情報連携基盤はソフトバンクが提供した。基盤に集まるデータは、その粒度や精度、形式などが異なるため、ソフトバンクが開発した補正・ひも付けロジックを適用して集約・統合しているとする。

 今回の実証は、新東名高速道路において中日本高速道路(NEXCO中日本)が建設中の区間で実施している「高速道路の自動運転時代に向けた路車協調実証実験」の一環。セルラーV2Xは移動通信システムの標準化団体3GPPが規定しており、人や車、道路などの間でのリアルタイムかつ相互の情報を交換・共有が期待されている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名本田技研工業(ホンダ)
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題交通事故を減らし、安心・安全な交通環境を実現したい
解決の仕組みネットに常時接続できる車両の情報と、路側センサーで取得する道路の情報を集約し、事故の発生リスクを予測し、事故回避に必要な情報を運転者に通知する
推進母体/体制本田技研工業、本田技術研究所、ソフトバンク
活用しているデータコネクテッドカーの位置・速度情報、車両情報、路側センサーで収集する道路の状況
採用している製品/サービス/技術事故発生の可能性を予測する「リスクアルゴリズム」(ホンダ製)、セルラーV2X環境、情報連携基盤(いずれもソフトバンク製)
稼働時期2024年6月(実証実験の完了時期)