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カゴメら食品メーカー5社、工場でのロボットやAI技術の活用に向けたコンソーシアムを結成

DIGITAL X 編集部
2024年7月11日

カゴメなど食品メーカー5社は2024年7月4日、食品工場におけるロボットやAI技術などの活用に取り組むためのコンソーシアムを、業務ロボットメーカーのTECHMAGICと共に立ち上げた。労働力不足や原価高騰など、非競争領域にあって自社だけでは解決が難しい課題の解決に取り組む。同日各社が発表した。

 カゴメ、キユーピー、永谷園、ニチレイフーズ、日清製粉グループ本社の5社が立ち上げたのは「未来型食品工場コンソーシアム」。労働力不足や原価高騰など食品工場が抱える非競争領域の課題解決に、各社が共創により取り組む(写真1)。1社だけでは解決できない課題に対し、業界内で開発コストの分散やシステムの汎用化、専門的な技術やノウハウの共有を図り、持続可能な食インフラの構築を目指す。

写真1:未来型食品工場コンソーシアムを立ち上げた食品メーカーの幹部。左から、カゴメ 取締役執行役員 生産調達本部長の葉色 義久 氏、キユーピー 取締役 常務執行役員の渡邊 龍太 氏、TECHMAGIC 代表取締役社長の白木 裕士 氏、永谷園 取締役 生産本部長の相澤 直史 氏、ニチレイフーズ 常務執行役員 生産統括部付部長兼生産統括部国内生産管理部長の山本 友紀 氏、日清製粉グループ本社 取締役 常務執行役員 技術本部長の髙𣘺 誠一郎 氏

 未来型食品工場コンソーシアムは今後、産業課題の抽出、要求仕様の策定、共通基盤の構築、他企業の製造プロセスの効率化に向けた勉強会などに取り組む。テクノロジーベンダーとしては、食品調理用や配膳用などのロボットを開発・製造するTECHMAGICが参画する。

 抽出した課題に対しては、共同プロジェクトを立ち上げ新たなサービスを開発する。第1弾として、原材料を計量する秤(ひょう)量工程の自動化を対象に、現場へのロボットの適用に取り組む。

 コンソーシアムの結成に当たり、各社の担当者は以下のコメントを出している。

カゴメ 取締役執行役員 生産調達本部長 葉色 義久 氏

 当社は、食品製造プロセスの革新を通じて、持続可能な製造現場の実現を目指している。製造現場の自動化、省力化には自社だけでは解決が難しい課題があるが、本コンソーシアムの取り組みにより解決することを期待している。ロボティックスやAIなどを活用した革新的な食品製造プロセスを確立するため、当社が持つ製造現場の知識と経験を積極的に活用し、食品産業の発展に貢献していく。

キユーピー 取締役 常務執行役員 渡邊 龍太 氏

 これまで当社は、知能化させたロボットをテックマジックらと共創するなど、食産業の課題解決に挑戦してきた。中でも「食産業の非競争領域の共通課題」は、業界として取り組むことでこそ相乗効果を生み出せる解決策が得られると考えている。今回、共通課題を協議し、共同でソリューション開発に取り組める枠組みが完成した。他社とともに「食産業の共通課題の解決」にも挑戦することで、「未来型食品工場」の実現を目指す。

永谷園 取締役 生産本部長 相澤 直史 氏

 本コンソーシアムは、食品産業の非競争領域に焦点を当てた革新的な取り組みであり、それぞれ強みを持った各社と価値あるネットワークを形成できることに期待している。一企業では解決が困難な共通課題を乗り越えるソリューションの開発に向けて、当社の知識と技術を提供し、活発な協議と協力により食品産業への貢献を目指す。

ニチレイフーズ 取締役専務執行役員 中野 泰寿 氏

 事業を取り巻く環境変化は加速しており、様々な課題が顕在化している。特に人手不足への対応や、フードロス削減・エネルギーの省力化などサステナビリティへの取り組みは、食品企業にとって喫緊の課題だと認識している。これまでも当社は、AIを活用した検品技術や生産計画の自動化など多様な技術開発を進めてきた。今回のコンソーシアムでは加盟各社様との議論を通じ、省人化のみならず持続性を高め、食産業の発展に寄与していきたい。

日清製粉グループ本社 取締役常務執行役員 技術本部長 髙𣘺 誠一郎 氏

 食品工場において人手不足はますます深刻化しており、非常に大きな経営課題であると認識している。自動化、省人化の生産技術開発は進めている一方、自社だけでは限界もある。このような状況の中、同業他社と課題を共有し、最先端の技術を用いてソリューションを図っていく本コンソーシアムは、新しいアプローチの方法だ。この取り組みが食のインフラを支え、持続可能な社会の実現に貢献することを期待している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名未来型食品工場コンソーシアム(カゴメ、キユーピー、永谷園、ニチレイフーズ、日清製粉グループ本社、TECHMAGIC)
業種製造
地域東京都江東区(事務局のTECHMAGICの本社)
課題食品メーカーの工場では、労働力不足や原価高騰など、非競争領域に各社共通の課題があるものの、その解決は自社単独では難しい
解決の仕組み食品メーカー間でコンソーシアムを結成し、共通課題の解決に取り組み、開発コストの分散やシステムの汎用化、専門的な技術やノウハウの共有を図る
推進母体/体制カゴメ、キユーピー、永谷園、ニチレイフーズ、日清製粉グループ本社、TECHMAGIC
活用しているデータ原材料の秤(ひょう)量データ(第1弾の取り組みにおいて)
採用している製品/サービス/技術ロボット
稼働時期2024年7月4日(コンソーシアムの結成日)