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佐川急便とセイノー、幹線輸送におけるレベル4自動運転トラックを実証実験

DIGITAL X 編集部
2024年7月17日

佐川急便とセイノーホールディングスは、東京・大阪間の高速道路の一部区間で、T2が開発した自動運転トラックを用いた幹線輸送の実証実験を実施する。期間は2024年10月から2025年6月で、特定の条件下で運転操作の全部をシステムが代替する「レベル4自動運転」による幹線輸送の公道実験は日本初という。2024年7月11日に発表した。

 佐川急便とセイノーホールディングスが実施するのは、レベル4自動運転によるトラックの幹線輸送の実証実験(写真1)。自動運転のレベル4は、特定の条件下で運転操作の全てをシステムが代替するもの。レベル4の自動運転トラックによる幹線輸送を目指した公道での実証は、これが日本初になるという。

写真1:幹線輸送の実証実験に利用する佐川急便(左)とセイノーホールディングスのレベル4自動運転トラック

 実験場所は、東京・大阪間にある東名高速道路と新東名高速道路、伊勢湾岸道、名神高速道路、新名神高速道路、京滋バイパスで、2024年10月から2025年6月にかけて実施する。実証時はドライバーが乗車しレベル2相当の状態で、レベル4による走行を検証する。

 幹線輸送は日常生活を支える大動脈である。今回、さまざまな条件下の公道で荷物を輸送することで、将来の事業化に向けた知見を獲得し、改善点を洗い出す。実証実験を機に、自動運転トラックによる幹線輸送に向けた協議会の設立も検討するとしている。

 実験に利用する自動運転トラックは、自動運転技術を開発するT2によるもの。佐川急便とセイノーホールディングスはT2ともに、それぞれが持つ運送オペレーションのノウハウと自動運転技術を掛け合わせることで、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送を2027年の実現を目指している。

 実験に当たり佐川急便 取締役 輸送ネットワーク・施設投資担当の枝川 和弘 氏は、「物流業界においてドライバー不足による輸送能力不足が懸念されている中、自動運転トラックは有力な輸送力確保手段と考えている。官民でのインフラ整備計画も進んできており、実証実験による知見の獲得と社会からの認知が加わり、自動運転トラックによる輸送の早期実現を期待する」と話している。

写真2:実証実験に取り組む佐川急便の枝川 和弘 取締役(左)、セイノーホールディングスの河合 秀治 執行役員(中央)、T2 の森本 成城 代表取締役CEO

 セイノーホールディングス 執行役員 オープンイノベーション推進室室長の河合 秀治 氏は、「当社では、2024年問題や環境問題などの社会課題に対し、オープン・パブリック・プラットフォームの概念のもと、中長期の経営方針として『Team Green Logistics』のスローガンを掲げ、ロジスティクス・貸切・特積みの3領域を中心に他社連携に取り組んでいる。今回の実証実験に挑めることは、持続可能な物流を実現し、お客さまの繁栄に貢献できると考えている」と話す。

 またT2 代表取締役CEOの森本 成城 氏は、「今回の実証は、2025年の事業開始に向けた重要なステップだ。『日本の物流を共に支える』という大義に共感いただき、素晴らしいパートナーと共に自動運転技術を活用した未来の物流に向けてチャレンジできること大変嬉しく思う。今後、3者で自動運転トラックでの幹線輸送実現に向けた協議会の設立を目指すが、本取り組みを加速化させるべく、自動運転トラック幹線輸送に関わる幅広い業界の方々からの賛同・参画を切に願う」としている。

 各社によれば、トラックドライバーの労働時間見直しに伴うトラック輸送能力の低下が社会問題になっている。国は2030年には34.1%の輸送能力が不足すると試算しており、サステナブルな物流の仕組みの構築が求められている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名佐川急便、セイノーホールディングス
業種物流
地域東京・大阪間の高速道路の一部区間(実証実験の実施場所)
課題トラックドライバーの労働時間の見直しに伴いトラック輸送能力の低下が社会問題になっている
解決の仕組み幹線輸送においてレベル4自動運転トラックを利用する
推進母体/体制佐川急便、セイノーホールディングス、T2
活用しているデータレベル4自動運転に必要な走行時の周辺情報など
採用している製品/サービス/技術自動運転の制御技術(T2製)
稼働時期2024年10月から2025年6月(実証実験の実施期間)