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住友化学、「DX戦略3.0」の第1弾となる天然素材の購買マッチングサービスを開始
住友化学は2024年7月18日、天然素材の買い手と売り手のマッチングを図るWebサービスを開始した。新規事業開発の戦略「DX戦略3.0」の第1弾になる。新サービスは、同社が持つ化学分析技術と素材成分に関する知見を元に開発した。同日に発表した。
住友化学は、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みにおいて2023年から、新たなビジネスモデルを創出・事業化する「DX戦略3.0」に取り組んでいる。同年1月には、新規事業担当の専門チーム「Value-nauts(バリューノーツ)」を立ち上げ、データのマネタイズに向けたプロジェクトを開始していた。
DX戦略3.0の第1弾となるWebサービス「Biondo(ビオンド)」を開発し、2024年7月18日に提供を開始した。Biondoは、天然素材を対象に買い手と売り手をマッチングするサービス(図1)。対象にする天然素材は、野菜や果物などの植物性成分、肉や魚などの動物性成分など約200種の化合物。例えば、ミカンの皮に含まれるヘスペリジンや、魚の刺身に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)などだ。
天然素材の買い手になる食品メーカーや化粧品メーカーは、Biondoが提供する素材検索データベースから、必要な素材や機能性成分を検索し、天然素材の製造・販売事業者に問い合わせができる。データベースからは350種以上の成分を検索可能とする。
天然素材の製造・販売事業者は、素材検索データベースへの登録に際しては、Biondo上で成分分析を依頼する。住友化学が、同社が持つ化学分析技術と天然資源データを用いて、素材に含まれる機能性成分を分析し登録する(図2)。Biondo上での素材分析によって資源本来の価値を発見できれば、素材のリサイクルや未利用資源の活用につながるとしている。
Biondoの開発は、英PwCコンサルティングの日本法人が支援した。住友化学としては、(1)事業開発の知見、(2)プロジェクトリード人材、(3)BtoC(企業対個人)領域での経験がの3つの課題があったためだ。
具体的には、新規事業開発の支援策を「BXT Works」を適用し、DX戦略3.0専門チームのメンバーとOJT(On the Job Training)形式でプロジェクトを進めた。ワークショップで事業性やリスクを検討。Biondoの試作サービスを一部ユーザーに先行公開し、そこから得たフィードバックを元に、ニーズに合わせた機能を優先的に開発したという。
住友化学は今後、健康・美容関連市場などを対象に、顧客への価値創出と社会課題の解決の両立を目指したい考え。Biondoで得た知見や既存事業との組み合わせを模索し、2024年度中に第2弾の取り組みに着手する予定である。
企業/組織名 | 住友化学 |
業種 | 製造 |
地域 | 東京都中央区(本社) |
課題 | 化学分析技術と素材成分に関するデータのマネタイズを図り新規事業を立ち上げたい |
解決の仕組み | 自社が持つ化学分析技術と天然資源データを活かし、天然素材売買のマッチングサービスを提供する |
推進母体/体制 | 住友化学、英PwCコンサルティング日本法人 |
活用しているデータ | 天然素材と機能性成分に関するデータなど |
採用している製品/サービス/技術 | 化学分析技術 |
稼働時期 | 2024年7月18日(マッチングサービスの開始時期) |