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自動車部品の田中精密工業、EV対応で生産ラインの検証環境をデジタルツインで構築

DIGITAL X 編集部
2024年8月30日

自動車部品メーカー田中精密工業は、EV(電気自動車)市場の発展を視野に、生産工程をシミュレーションするためのデジタルツインを構築した。製造工程の見直しと改善活動につなげる。デジタルツイン構築を支援したマクニカが2024年8月21日に発表した。

 田中精密工業は、自動車やオートバイのエンジン部品を対象に、塑形加工から切削、組み立て、検査までの金属加工を手がけている。このほど、部品の生産工程をシミュレーションするためのデジタルツインを構築した(図1)。EV(電気自動車)化による市場変化に対応できるよう、新たな生産プロセスの設計と現場の改善につなげるのが目的。生産工程のシミュレーションはこれまで表計算ソフトウェアを使っており、高度な検証方法や迅速な現場改善には限界があったという。

図1:工場のデジタルツインを使い生産工程をシミュレーションで検証した際の画面例

 デジタルツインでは、工場の生産ラインを再現し、作業員とモノの流れを可視化する。製品種別や製造条件などが異なるパターンの別に、生産量や製造時間など関連数値を算出する仕組みにより、ボトルネックの分析や、変種変量生産の効率性を検証する。

 具体的には、在庫の保管効率や生産のリードタイム、生産中の中間在庫などを評価して改善につなげる。AGV(無人搬送車)の運行効率や設備の停止時間もシミュレーションで評価する。

 今後は、現場のエンジニアがシミュレーションモデルを内製できるようにし、より柔軟に改善活動につなげられる仕組みを構築したい考えだ。製造実行システム(MES:Manufacturing Execution System)との連携を図り、リアルタイムな生産状況と比較した、より最適な生産計画を立案できるようにもする。

 デジタルツインは、工場向けシミュレーションソフトウェア「Plant Simulation」(独シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア製)を用いて構築した。構築に当たっては技術商社のマクニカが支援した。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名田中精密工業
業種製造
地域富山市(本社)
課題EV化に伴う市場変化に対応するために、製造プロセスおよび現場を改善したい
解決の仕組みデジタルツイン上に製造工程を再現しシミュレーションにより検証する。生産上のボトルネックの発見や変種変量生産に対応できるラインの見直しなどの改善活動につなげる
推進母体/体制田中精密工業、マクニカ
活用しているデータ製品種別や製造条件などのパターンに基づく生産量や製造時間などの数値
採用している製品/サービス/技術生産シミュレーションソフトウエア「Plant Simulation」(独シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア製)
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