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キリンビール、飲料に使う果実のトレーサビリティのための基盤をブロックチェーンで構築

DIGITAL X 編集部
2024年9月2日

キリンビールは、飲料に使用する果実のトレーサビリティを確保するための基盤をブロックチェーン技術を使って構築した。果実の流通・製造情報を消費者にも公開し、フードロスの削減や農家の支援といった仕組みの実現を目指す。同基盤の導入を支援した日本IBMが2024年8月2日に発表した。

 キリンビールが構築したのは、飲料の原料になる果実に関する流通・製造情報を追跡するための基盤(図1)。ブロックチェーン技術を使いデータの改ざんをなくしサプライチェーンの透明性を高めるとともに、情報を消費者にも公開しフードロスの削減や農家の支援などいった活動につなげるのが目的だ。

図1:キリンビールが導入したブロックチェーンを使ったデータ共有基盤の概要

 新基盤では、果実の生産者である果樹園から、中間業者による加工、キリンビールの工場での製造までの果実関連情報を追跡する。果実の出荷日、加工日、出荷元、出荷先、品名、ロット番号、数量などに加え、果実の運搬に伴うGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量などだ。各段階の情報は消費者にも公開する。

 新基盤の構築は、同社の缶酎ハイ「氷結」における「氷結mottainaiプロジェクト」の一環だ。まずは2024年5月に発売した「氷結mottainai浜なし(期間限定)」に使っている果汁原料の追跡に利用している。

 氷結mottainaiプロジェクトは、規格外などを理由に店頭販売できず廃棄される予定の果実を商品に使用することでフードロスの削減を図るのが目的。加えて商品の販売1本ごとに1円を果実農家に寄付している。

 新基盤では、消費者が果実の特定の生産農家を直接支援したり、生産農家が自らの活動結果を消費者の支援に対し報告したりできる仕組みも実現する。キリンビールは今後、さまざまな地域の特産果実を商品に使用し全国の農家の支援に取り組むとしている。

 なお新基盤はサプライチェーン向けデータ基盤「IBM Supply Chain Intelligence Suite」(米IBM製)に、ブロックチェーン技術を使ったデータ共有モジュール「IBM Blockchain Transparent Supply」(同)を組み合わせて構築した。構築・導入を日本IBMが支援した。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名キリンビール
業種製造
地域東京都中野区(本社)
課題規格外などを理由に店頭販売できず廃棄される予定の果実を商品に使用することでフードロスの削減を図る
解決の仕組み原料になる果実の流通・製造情報を追跡し、生産者・消費者にも公開することで、原料の透明性を高めると伴に、消費者が特定の生産者を直接支援できるようにする
推進母体/体制キリンビール、日本IBM
活用しているデータ果実の出荷日・加工日、出荷元、出荷先、品名、ロット番号、数量、運搬で生じるGHG(温室効果ガス)排出量などの情報
採用している製品/サービス/技術サプライチェーン向けデータ基盤「IBM Supply Chain Intelligence Suite」(米IBM製)、ブロックチェーン技術を使ったデータ共有モジュール「IBM Blockchain Transparent Supply」(同)
稼働時期2024年5月(最初の適用商品「氷結mottainai浜なし(期間限定)」の発売時期)