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ライト工業、補強工事の計測から図面作成までをAIで自動化

DIGITAL X 編集部
2024年9月5日

土木工事会社のライト工業は、橋脚の耐震補強工事において、削孔位置の計測から結果の図面作成までをAI(人工知能)技術で自動化するシステムを開発した。施工管理担当者の業務負担の軽減と手作業による計測精度を高めるのが目的。システムを共同開発したモルフォが2024年8月27日に発表した。

 ライト工業は構造物の補修など特殊な土木工事を手がけている。このほど、橋脚の耐震補強工事における削孔位置をAI(人工知能)技術で計測する「削孔位置画像計測システム Quick Drafter」を開発した。施工管理担当者の負担を軽減しながら計測精度を高めるのが目的だ。実現場ですでに運用しており、作業時間を70%削減できているという(写真1)。使い勝手を高めながらシステムの外販も検討する。

写真1:「削孔位置画像計測システム Quick Drafter」の利用場面。担当者はスマートフォンで削孔を撮影(左)すれば、削孔位置を計測し図面を作成する

 開発の背景には、国土交通省が全国的に推進している緊急輸送道路の橋梁に対する耐震補強工事がある(写真2)。災害時の救急救命活動や復旧支援活動を支えるのが目的だ。ただライト工業によれば、落橋防止装置となる鋼製ブラケットのアンカー孔を橋脚に削孔する際、削孔位置の計測と図面作成に人手と時間がかかるうえ、計測ミスが生じると工事の遅延や金銭的な損失が発生する恐れがある。

写真2:橋脚に落橋防止装置の取り付けが完了したイメージ

 Quick Drafterでは、担当者はスマートフォンのカメラで削孔位置を撮影しアップロードすると、削孔位置を数分で分析し、計測結果から図面までを自動で作成する。

 計測精度を高めるためのキャリブレーション機能を持たせた。アンカー孔に外周線を引き四隅にタグを貼り付けることで画像のピクセルを物理的なサイズに変換し、画像の歪みを補正する。対象物は複数回撮影しレンズおよびパラメーターを自動で調整もしている。

 システムの開発では、画像処理ソフトウェアのモルフォと、建設業向けソフトウェアのEARTHBRAINの協力を得た。モルフォは、AI技術による画像処理アルゴリズムの提供とアプリケーションの開発を担当。EARTHBRAINは、アプリケーションの動作環境として建設業界向けIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤「LANDLOG」を提供した。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ライト工業
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題耐震補強工事における削孔位置の計測作業には人手と時間が掛かるうえ、人手による計測では精度にブレがある
解決の仕組み削孔現場をスマートフォンのカメラで撮影すれば、削孔位置の計測から図面の作成までを実行できるシステムを開発する
推進母体/体制ライト工業、モルフォ、EARTHBRAIN
活用しているデータアンカー孔を削孔した現場の画像
採用している製品/サービス/技術AI技術による画像処理アルゴリズム(モルフォ製)建設業界向けIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤「LANDLOG」(EARTHBRAIN製)
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