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食品卸のヤマエ久野、需要予測に基づく自動発注システムで業務時間を半減

DIGITAL X 編集部
2024年9月6日

食品・酒類卸のヤマエ久野は、AI(人工知能)技術を使った需要予測結果を基に自動発注するシステムを2024年4月に稼働させた。熟練担当者の発注業務時間が半減したという。今後は経験の浅い担当者でも発注精度を高められるようにする。システム開発に協力した日立製作所が2024年8月28日に発表した。

 ヤマエ久野は、九州地区を中心に食品や酒類などの卸売業を展開している。2024年4月から新たな自動発注システムを稼働させている(図1)。AI(人工知能)技術を使った需要予測に基づき在庫の最適化を図ると同時に、配送トラックの積載量も考慮して補充量を計算し発注する。

図1:ヤマエ久野が導入した需要予測に基づく自動発注システムの流れ

 ヤマエ久野は、多数の顧客が求める商品を扱うために複数の拠点を置いている。拠点では熟練担当者が1日1人当たり約3000アイテムの発注・在庫管理を手掛けている。営業エリアの拡大や小売店の物流センターの増加により発注担当者の人員不足が課題になっていた(写真2)。

写真2:ヤマエ久野の汎用倉庫内部の様子

 新システムは現在、4拠点で稼働させている。2024年6月末時点で、熟練担当者が1人1日当たり約3時間かかっていた発注業務を半減できたという。今後は、発注水準を熟練担当者同等にまで高め、経験の浅い担当者でも発注精度を高められるようにする。

 発注精度を高めるために、(1)スポット特売、(2)自動チューニング、(3)ロット丸めの3機能を持たせた。スポット特売は、特定の取引先からの大幅な受注増など通常とは異なる発注を検知し、AIモデルの過学習を抑制するための機能。AIモデルが異常値の影響を受け難くし需要予測精度の安定を図る。

 自動チューニングは、倉庫のサイズや取り扱いアイテム数など、各拠点の状況に合わせて在庫を最適化する機能。最低在庫および発注頻度を自動で調整する。他拠点にシステムを導入する際の効率も高められるとする。

 ロット丸めは、最低発注量および車両積載率などの配送条件に合わせて、推奨発注量を発注単位の倍数に丸める機能。仕入先単位で発注量をコントロールし、配送トラックへの積載が適切になるように調整する。

 新システムは、日立製作所の「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービス」をカスタマイズした。倉庫やエリアによって異なる特性に対し、効果を最大化するためだ。両社は2023年から、発注業務の標準化と生産性向上に取り組んできた。

 今後は、発注作業に関わる担当者を集約しながらエリアの拡大に対応すると伴に、新システムが算出するデータを活用し、サプライチェーン全体の最適化に取り組むとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ヤマエ久野
業種流通・小売り
地域福岡市(本社)
課題営業エリアの拡大や小売店の物流センターの増加により発注担当者が不足し、経験の浅い担当者でも同じ水準でこなせるようにしたい
解決の仕組みAI技術により需要を予測し自動で発注できるようにする
推進母体/体制ヤマエ久野、日立製作所
活用しているデータ受注データや在庫データ
採用している製品/サービス/技術需要予測型自動発注システム「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービス」(日立製作所製)
稼働時期2024年4月(システム導入時期)