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長野県の伊那市と南箕輪村、行政区域を越えた在宅医療・介護支援を実現

DIGITAL X 編集部
2024年9月16日

長野県の伊那市と南箕輪村は2024年7月、行政区域を越えて切れ目のない在宅医療・介護支援のための体制を整備した。そのために在宅医療・介護の専門職が利用する情報共有基盤における広域連携機能を導入した。情報共有基盤を提供するIIJが2024年8月1日に発表した。

 長野県の伊那市と南箕輪村は、在宅医療と介護支援を、それぞれの行政区域を越えて提供する広域連携に取り組んでいる。このほど、両市村間での広域連携体制を整えるために、医師や看護師など医療・介護の専門職が必要な情報を共有するための情報共有基盤の連携を開始した(図1)。隣接する上伊那郡箕輪町も2025年4月から同基盤を共有し、広域連携の取り組みに参画する予定である。

図1:長野県の伊那市と南箕輪村が取り組む広域連携のイメージ。医療・介護の専門職が必要な情報を共有し、行政区域を越えた在宅医療・介護を推進する

 伊那市、南箕輪村、箕輪町の3市町村は2026年1月、「定住自立圏にもとづく在宅医療・介護連携推進事業の広域連携協定」を締結している。定住自立圏とは、住民が安心して暮らせる地域を各地に形成し、人口の定着を促進する政府の取り組みだ。

 これまでに地域の中核病院である伊奈中央病院を3市町村が共同運営するなど、医療・介護・福祉の充実に取り組んできた。特に在宅医療・介護連携の推進を重要政策に位置付け、高齢者と、その家族が最適な医療・介護を受けられる地域づくりを進めてきた。今回の情報共有基盤の共有も、そのためのデジタル技術活用の一環である。

 情報共有基盤には、「IIJ電子@連絡帳サービス」(IIJ製)を採用する。高齢者や児童福祉などの在宅医療・介護にかかわる医師や看護師、薬剤師、介護ヘルパー、ケアマネージャーなどの専門職が相互に情報連携するため仕組みで、その広域連携機能を活用する。専門職らは、行政区域を越えて、要支援者の情報共有や住民の生活圏に合わせた患者支援チームの作成、掲示板やチャットを用いたコミュニケーションが可能になる。

 伊那市は2021年4月から電子@連絡帳を導入し、オンライン診療や在宅医療・介護分野で利用してきた。南箕輪村は2024年7月に電子@連絡帳の利用を開始していた(図2)。今後は防災や救急連携、オンライン診療、見守りなどの領域でも連携を図りたい考えだ。

図2:長野県の伊那市と南箕輪村、箕輪町が推進する広域連携の概要
デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名長野県・伊那市、南箕輪村、箕輪町
業種公共
地域長野県・伊那市、南箕輪村、箕輪町
課題行政区域を越え、住民の生活圏に合わせた在宅医療・介護支援を提供したい
解決の仕組み医師や看護師など医療・介護の専門職が医療・介護に必要な情報を共有可能にすることで、広域連携や区域を越えたチームの結成などができるようにする
推進母体/体制長野県の伊那市、南箕輪村、箕輪町
活用しているデータ患者や、その家族、要支援者などの情報、医療・介護機関や専門職に関する情報など
採用している製品/サービス/技術「IIJ電子@連絡帳サービス」(IIJ製)
稼働時期2024年7月(伊那市と南箕輪村間での情報共有の開始時期)