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トヨタ、部品の「引き取り物流」に運行状況や遅延時間を予測する運行管理システムを導入

DIGITAL X 編集部
2024年9月19日

トヨタ自動車は、自動車部品を自社で手配したトラックで配送する「引き取り物流」において、トラックの走行計画をリアルタイムに把握し、遅延時間を予測できる運行管理システムを2024年9月に導入した。計画精度を高め遅延リスクを特定することで巡回効率を高め、輸送時間の短縮につなげたい考え。システムを開発・運用するアイシンが2024年9月2日に発表した。

 トヨタ自動車は、自動車部品の物流において、自社で手配したトラックがサプライヤーを巡回し部品を工場に届ける「引き取り物流」を2016年から導入している。今回、道路の規制などを加味した最適な運行計画を立案するとともに、実際の運行状況や道路の混み具合などから遅延時間を予測できるようにした(図1)。トラックの便数を抑え、ドライバー不足への対応やカーボンニュートラルへの貢献を期待する。2024年5月から試用・評価してきたものを2024年9月に正式導入した。

図1:トヨタ自動車が「引き取り物流」に導入した運行管理システムの画面例

 新システムでは、トラックの規格ごとの道路規制などを考慮し、最適な到着予定時刻に合った輸送ルートを立案する。運行中のトラックやドライバーの位置情報をGPS(全地球測位システム)や車載センサーで測位し、運行管理者は動態をPC上で確認できる。

 輸送中は、遅延が予想される車両の情報や予測される遅延時間、ルートの逸脱などを管理者にメールで通知する。遅延リスクは、リアルタイムの交通情報や、配送計画との乖離、車両動態などを総合的に分析して予測する。

 ドライバーに向けては、安全運転につなげるための音声メッセージを発話する。例えば、危険地点を通過する前に、管理者が事前に登録したメッセージを発話し注意喚起することで運転支援と安全意識の向上につなげる。

 システムに蓄積する運行実績データは、トヨタが持つ物流システムに連携させ、荷役・走行・荷待ちの時間などを分析し、運行上のボトルネックを把握し、その解消を図る。トラックの早着や遅延、ドライバーの運転特性などの傾向も把握し、輸送経路や運行ダイヤの見直しにもつなげたい考えだ。

 運行管理システムには、アイシンのクラウドサービス「BRIDGES@ny(ブリッジスエニー)」を採用した。アイシンが持つカーナビゲーションシステムなどのための技術を元に開発・運用するサービスだ。輸送関連情報を荷主と輸送会社、納入先が共有し社内外での連絡時間削減を図る機能もある。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トヨタ自動車
業種製造
地域愛知県豊田市(本社)
課題自社で手配したトラックで部品を運ぶ「引き取り物流」の効率を高め、ドライバー不足やカーボンニュートラルに対応したい
解決の仕組み輸送計画策定や動態管理ができる運行管理システムを導入し、輸送効率を高める。蓄積した実績データを活用し、配送ルートやダイヤの見直し、作業の改善につなげる
推進母体/体制トヨタ自動車、アイシン
活用しているデータトラックの運行データ、道路の規制情報、道路交通情報など
採用している製品/サービス/技術トラック向け運行管理システム「BRIDGES@ny」(アイシン製)
稼働時期2024年9月(正式導入開始時期)