• UseCase
  • 製造

鹿島建設、建物がライフサイクルで発するCO2排出量の算定システムを開発

ANDG CO., LTD.
2024年9月24日

鹿島建設は、建物の施工から解体・廃棄までライフサイクルにおけるCO2(二酸化炭素)排出量を算定するシステムを開発した。工事見積書から建材や設備機器などを1つひとつ分類し、CO2排出原単位と紐づけることで算定する。2024年8月29日に発表した。

 鹿島建設の「Carbon Foot Scope(カーボンフットスコープ)」は、建物の施工から解体・廃棄までのライフサイクルにおけるCO2(二酸化炭素)排出量を算定するシステム(図1)。建材や設備機器の1つひとつの排出量を正確に算定するのを目的に、CO2排出量計算ソフトウェアを開発するゴーレムと共同で開発した。人手による算定よりも最大で約8割の時間短縮を実現できたという。

図1:鹿島建設が開発した「Carbon Foot Scope」のシステム概要

 Carbon Foot Scopeはまず、工事の見積書を取り込み、建材や設備機器などの構成部材をAI(人工知能)技術を使い分類する。それを、建物ライフサイクル評価における鹿島グループの知見を機械学習した別のAIシステムで精査し、原料やエネルギーに規定された単位当たりのCO2排出量であるCO2排出原単位と紐付けて排出量を算定する。算定できる設備は電気機器や衛生器具、空調機、昇降機などである。

 鹿島建設はCarbon Foot Scopeを使い、例えば新築時に設備ごとのCO2排出量を算出し、顧客に対し細かな削減プランを提案したい考え。日本建築学会が定めた環境負荷の定量的評価指針である「建物のLCA(Life Cycle Assessment)指針」や、各種算定ツールとの連携にも対応する。

 鹿島建設によると、1つの建物に要する設備機器は多いと数万点にもなり、CO2排出原単位との紐付けには、専門知識を有する技術者による手作業に頼っていた(図2)。そのため、過去の設備工事における排出データを統計値として建築工事の見積書や床面積の合算から推定していたという。

図2:従来の算定方法は統計値などを利用して工事全体を概算していた(左)。新しいシステムでは設備と建築の構成要素を分解して算定する

 建設業が排出するCO2は、全産業の約3分の1を占めるとされる。2050年のカーボンニュートラルに向けた脱炭素への取り組みが求められている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名鹿島建設
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題2050年のカーボンニュートラルに向けた脱炭素への取り組みが求められる中、設備機器を含めた建物のライフサイクルに渡るCO2排出量の算定は、専門技術者の人手に頼っており、統計値などで代替するしかなかった
解決の仕組み工事見積書から建材や設備機器の1つひとつ分類し、CO2排出原単位と紐付けることで排出量を正確に算定する
推進母体/体制鹿島建設、ゴーレム
活用しているデータ工事の見積書、CO2排出原単位
採用している製品/サービス/技術CO2排出量算定ソフトウェア(ゴーレム製)
稼働時期--