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空調機器の新晃工業、設計業務での熟練者のノウハウを聞き出せる生成AI利用のチャットシステムを構築

DIGITAL X 編集部
2024年10月25日

空調機器メーカーの新晃工業は、設計業務において熟練のノウハウを自然言語によるチャットで聞き出せる仕組みを構築した。顧客の要件に応えるために若手も高度な設計業務に携われる体制を整備するのが目的だ。システム構築を支援したABEJA(アベジャ)が2024年9月30日に発表した。

 空調機器メーカー新晃工業はこのほど、設計支援システム「SINKO AI Design Link」を構築した。熟練者が作成してきた手配書や仕様書、依頼伝票、基準書、設計指針などの文書のデータベースを核に、生成AI(人工知能)技術を使い、設計者が自然言語ベースで質問したり情報要求を入力したりしながら設計業務に必要な情報を引き出せるようにした。

 新晃工業は、設計業務を同社のビジネスの価値を決めるプロセスに位置付け重視している。ただ同社製品は、大規模な建築物の要件に応じてカスタマイズするため設計の標準化が難しく、熟練者への質問やレビュー依頼が集中し、人材育成に割ける時間が限られていた。

 SINKO AI Design Linkを利用することで、熟練が持つ暗黙知を設計業務に利用可能にし、若手技術者も、顧客ごとに異なる要求に応じた製品を設計できる体制を整備する。設計内容の分析や改善提案、新商品開発などの用途にも利用する。

 システムは、AI(人工知能)基盤「ABEJA Platform」(ABEJA製)を元に開発した。LLM(Large Language Model)構築サービス「ABEJA LLM Series」(同)を利用し、設計に特化したAIモデルの学習と精度向上を図っているという。

 今後も回答を生成するアルゴリズムの改善を続けるとともに、設計現場のトレンドや新技術に関する情報も反映し最新情報に基づく設計を支援できるようにする。加えて、顧客サービスの品質の向上を目的に、設計以外の部門への適用も検討する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名新晃工業
業種製造
地域大阪市北区(本社)
課題納品先の建築物に合わせた設計が必要なため、熟練設計者への質問やレビュー依頼が集中し、若手を育成するための時間の確保が難しい
解決の仕組み熟練者が作成していた設計関連文書をデータベース化し熟練者の暗黙知を自然言語ベースでのやり取りで引き出せるようにする
推進母体/体制新晃工業、ABEJA
活用しているデータ設計業務に用いる手配書、仕様書、依頼伝票、基準書、設計指針などの文書
採用している製品/サービス/技術AI基盤「ABEJA Platform」(ABEJA製)、LLM構築サービス「ABEJA LLM Series」(同)
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