• UseCase
  • 製造

JFE条鋼、電炉での鉄スクラップの検収を自動化するシステムを2025年より順次稼働

DIGITAL X 編集部
2024年11月25日

電炉専業メーカーのJFE条鋼は、国内電気炉で用いる鉄スクラップの品質を解析するシステムを2025年より順次稼働させる。熟練者の目視に頼ってきた品質管理を自動化し、個人差や異物混入の見逃しなどを低減し、製品の品質向上につなげる。解析システムを開発するEVERSTEELが2024年10月15日に発表した。

 JFEグループで電炉を専業にするJFE条鋼は2025年から、電気炉での製鋼に用いている鉄スクラップの品質をAI(人工知能)技術を使って解析するシステムを国内製造所で順次稼働させる(図1)。品質チェックを自動化することで、熟練者に頼っていた業務の属人化や個人差、異物の見逃しといったリスクを低減し、製品品質を高めるのが目的だ。

図1:JFE条鋼が稼働させる鉄スクラップの品質判定システムの画面例

 まずは鹿島製造所(茨城県神栖市)で2025年上期に、東部製造所(埼玉県三郷市)では2025年下期に稼働を開始する予定である。その後、豊平製造所(札幌市西区)に導入する計画で、国内に5カ所ある全製造所への導入を目指す。

 電炉法での製鉄は、リサイクルした鉄スクラップを原料にする。鉄鉱石やコークスを使う高炉法に比べ、CO2(二酸化炭素)排出量を削減できる。だが、鉄スクラップには土砂やゴミなどの不純物や爆発物が混入したり、品質基準を満たさなかったりするケースがある。鉄スクラップの品質は製品品質にも影響する。

 新システムでは、製造所のヤードの天井にカメラを設置し、鉄スクラップを撮影する。撮影画像をAI技術で解析し、スクラップの種別や等級(グレード)、異物混入などを判定する。鹿島と東部の両製造所にはすでにカメラの設置工事が完了している。東部製造所では、天井クレーンにもカメラを設置し、振動が厳しい環境でも広範囲に撮影できるようにしたという。

 システムには、鉄スクラップの検収システム「鉄ナビ検収AI 」(EVERSTEEL製)を導入した。解析精度を高めるためにEVERSTEELは、複数の鉄鋼メーカーで実証実験を実施してきた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名JFE条鋼
業種製造
地域茨城県神栖市(鹿島製造所)、埼玉県三郷市(東部製造所)、札幌市西区(豊平製造所)など
課題電炉での製鉄原料になる鉄スクラップには不純物や爆発物が混入したり、品質基準を満たさなかったりするケースがあり、製品品質に影響するが、その検査が熟練者に依存している
解決の仕組み鉄スクラップの画像をAI技術で解析し、品質等級の確認や異物の発見を自動化する
推進母体/体制JFE条鋼、EVERSTEEL
活用しているデータ鉄スクラップの画像
採用している製品/サービス/技術検収システム「鉄ナビ検収AI」(EVERSTEEL製)
稼働時期2025年上期(最初の導入先である鹿島製造所での稼働時期)