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三井不動産、「ららぽーと」などでのオムニチャネル戦略を強化するための新サービス基盤を開発

DIGITAL X 編集部
2024年12月4日

三井不動産は、商業施設「ららぽーと」などにおけるオムニチャネル戦略を強化するために、独自のサービス提供基盤を開発した。実店舗とEC(電子商取引)サイトを組み合わせたサービスの提供速度を加速させるのが目的だ。2024年11月27日に発表した。

 三井不動産は「三井ショッピングパーク ららぽーと」などの商業施設を運営している。そこでは、公式通販サイト「Mitsui Shopping Park &mall(以下、&mall)」と掛け合わせることで、顧客に新たな購買体験を提供するオムニチャネル戦略を推進している。

 このほど、オムニチャネル関連サービスを提供するための新基盤「オムニサービス・プラットフォーム」を独自開発した(図1)。関連サービスの提供速度を加速する。今後は、業種・業界を越えて、小売りブランドやシステムベンダーなど種々のパートナー企業と連携しオムニサービスの拡充を図りたい考えだ。

図1:オムニサービス・プラットフォームのシステム構成イメージ

 新基盤ではまず、ECサイト&mallの基本性能を強化した。UI(User Interface)/UX(User Experience)や商品のレコメンド機能を刷新し、顧客が商品を探しやすくした(図2)。出品者に対しても、商品・在庫情報の登録・更新方法を改善し、より容易に出店・販売できるようにした。

図2:公式通販サイト「Mitsui Shopping Park &mall」のための新しい画面の例

 2025年春の提供を予定するアウトレット専用EC機能も実装した。三井アウトレットパークに出店するブランドの商品を販売する。規格外の「B品」商品を取り扱ったり、シークレットセールを実施したりすることで、アウトレットとしての購買体験を提供する。

 新基盤を利用したオムニチャネルを利用するサービスの企画・開発では、オムニチャネル関連事業を手掛けるSUPER STUDIOとパートナーシップを組んでいる。

 その目的の1つにセレクトショップ「ららぽーとクローゼット」の利便性強化がある。顧客が、ららぽーとや&mallで販売している商品から“自分に似合う”商品を見つけ易くする。そのために、顧客が試着した商品の情報や体験サービスから、カラー診断や骨格診断といった情報を会員情報に紐づけ、顧客にレコメンド(推奨)する仕組みを作りたい考えだ(図3の左)。

図3:SUPER STUDIOと組み、オムニチャネルを使うサービスを企画・開発する。左は、セレクトショップ「ららぽーとクローゼット」の利便性強化のイメージ。右は、商業施設内で複数店舗の商品をまとめて比較・購入できるサービスのイメージ

 他には、商業施設を訪れた顧客が、施設内の複数店舗から商品を自由に持ち出し、最後にまとめて比較・購入できるサービスの提供も検討している(図3の右)。

 新基盤は、NTTデータ、チームラボ、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、システムエグゼとで開発した。システムの拡張性を考慮し、マイクロサービスアーキテクチャーを採用し、アプリケーションの開発効率を高めたとする。各種API(アプリケーションサービスインタフェース)を実装し、生成AI(人工知能)技術などを利用する各種サービスとの連携を容易にしているという。

 三井不動産はオムニチャネル戦略として、&mallを2017年11月に開設。以後、&mallの注文商品の受け取りと返品が無料でできるサービスを、全ららぽーとに導入したり、ららぽーとクローゼットで骨格診断やコーディネート提案といったサービスを提供したりしてきた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三井不動産
業種流通・小売り
地域東京都中央区(本社)
課題商業施設「ららぽーと」の事業拡大に向け、公式通販サイトと組み合わせたオムニチャネル戦略を強化したい
解決の仕組みオムニチャネル関連サービスを開発・実行するための基盤を刷新し、業種・業界を越えた種々のパートナーと連携した新サービスを開発・投入する
推進母体/体制三井不動産、SUPER STUDIO
活用しているデータ商業施設やECサイトで取得できる各種データ、顧客が試着した商品の情報、顧客の会員情報など
採用している製品/サービス/技術オムニチャネルサービスの開発・実行基盤「オムニサービス・プラットフォーム」(NTTデータ、チームラボ、伊藤忠テクノソリューションズ、システムエグゼと共同開発)
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