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廃棄物処理のナカダイ、再生材供給への産業転換に向けリサイクル工程の追跡システムを構築
廃棄物処理業のナカダイは、廃棄物のリサイクル工程を追跡するためのシステムを構築した。再生材の販売拡大が目的で、顧客からの品質要求に応える。2024年11月27日に発表した。
廃棄物処理を手掛けるナカダイは廃棄物からの再生品販売に力を入れている。このほど、廃棄物の回収から処理、再生材の生産までのリサイクル工程を追跡するためのシステムを構築した(図1)。廃棄物処理から再生材供給への産業転換を図るのが目的だ。
追跡システムの導入により、再生資源の品質グレード(等級)を示すのに必要な情報を管理し、品質と出荷量を確保することで再生材の販売機会を増やす。そのために、処理工程を標準化し、各工程での課題を明確にすることで、リサイクル効率の向上やコスト削減のためのボトルネックの特定と見直しを進める。
リサイクル工程は大きく、(1)コンテナの設置、(2)回収、(3)リサイクル工場への入荷、(4)移動、(5)リサイクル処理、(5)処理後、(6)出荷からなる。システムでは、排出事業者から回収したコンテナにIDラベルを添付し、各工程でIDラベルを読み取ることで、搬入状況や処理結果などの情報を登録・管理する。
例えば(2)回収時には、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を登録しコンテナの内容物を整合する。(3)リサイクル工場への入荷時は、日別および工程別の処理量などを登録。(5)処理後では、再生材となる資源の重量を登録する。
システム導入に向けては2024年8月に、自社リサイクル工場でPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施。各工程でデータを取得し、システムの有効性が確認できたことから本格運用を決めた。今後は、他の再資源化事業者や製造業のリサイクル工場に対する外販も見据えたPoCを続ける。
システムは、自動認識装置などを開発するサトーホールディングスとの協業で構築した。2023年から協業を始めており、ナカダイが処理を委託している企業の廃棄物置き場での集積状況をカメラ画像のAI(人工知能)分析により可視化する仕組みの実証実験などを実施してきた。
サトーによれば、持続可能な社会の構築に向けリサイクルの必要性が高まっている。しかし、再生材の生産工程や品質情報などの可視化が進んでおらず、再生材の供給と品質に対する不安が、企業や社会の循環経済へのシフトを妨げる要因になっている。
企業/組織名 | ナカダイ |
業種 | 製造 |
地域 | 群馬県前橋市(本社) |
課題 | 廃棄物処理から再生材供給への産業転換を図りたい。そのために再生材の品質を可視化する必要がある |
解決の仕組み | 廃棄物の回収から再生材の生産までのリサイクル工程をIDラベルで追跡するシステムを構築する |
推進母体/体制 | ナカダイ、サトーホールディングス |
活用しているデータ | 廃棄物回収から再生材生産までの各工程で付加・発生するデータ |
採用している製品/サービス/技術 | IDラベルと関連システム(サトー製) |
稼働時期 | 2024年8月(自社工場でのPoCの実施時期) |