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コマツ産機、受注生産品の製造時間短縮に向け過去図面の再利用を本格化

DIGITAL X 編集部
2024年12月24日

大型プレスなどを製造するコマツ産機は、過去に作成した図面を再利用するための図面管理システムをに2024年内をめどに本格運用を始める。類似図面を再利用することで受注生産品の製造リードタイムを短縮するとともに、品質向上や固定費削減を図る。システムを提供するキャディが2024年11月24日に発表した。

 コマツ産機は、鍛圧機械や板金機械など大型プレスを受注生産しており、そのための図面を年間2万枚以上、作成している。顧客ごとにカスタマイズする受注生産品の製造リードタイム短縮を目的に、過去に作成した図面を再利用するための図面管理システムを2024年内をめどに本格運用を開始する。設計者1人当たり最大200分/月の業務削減を期待する。同システムを親会社であるコマツの金沢工場にも導入する。

 図面管理システムでは、新規受注品の仕様と類似性の高い過去図面の検索性を高めるために、2D(2次元)図面のメタデータを作成する。具体的には、図面に記載されている寸法や記号、テキストなどの情報をAI(人工知能)技術で読み取り、構造化データとして管理する。加えて、作図されている部品などの形状アルゴリズムで解析し、その特徴からも類似性の高低を判定する。

 コマツ産機 代表取締役社長の長利 啓正 氏は図面を再利用する理由を、「受注生産品では詳細設計用の図面が必要だが、『似ているが少し違う図面』や『仕様に合う旧図を探し出せず再度作成した新図』が増えている。特に、新図は出図にコストがかかるほか、下流工程の品質や納期へのリスクや不効率を生み出す。過去図面に基づく経験値が使えないため、見積もり・工程設計・試し削りの手配などで初物扱いとなっていた」と説明する。

 図面管理システムにはクラウド型の「CADDi Drawer」(キャディ製)を採用した。試用期間中のアンケートでは、利用者の94%が「業務改善効果があると思う」と回答したという。特に、検索画面の使いやすさや類似図面検索の精度を評価したとする。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名コマツ産機、コマツ
業種製造
地域石川県金沢市(コマツ産機本社、コマツ金沢工場)
課題受注生産品における製造リードタイム短縮、品質向上、固定費削減を図りたい
解決の仕組み2D(2次元)図面データを構造化することで類似図面などの検索性を高め、受注品の仕様に合った旧図面を再利用する
推進母体/体制コマツ産機、コマツ、キャディ
活用しているデータ2D図面に記載された寸法、記号、テキストなど
採用している製品/サービス/技術図面管理システム「CADDi Drawer」(キャディ製)
稼働時期2024年内(本格運用の予定時期)