- UseCase
- 製造
住友ゴムが国内外の全工場にMESを導入しERPと連携へ、2025年下期の白河工場から
住友ゴム工業は、国内外の全工場にMES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)を導入し、ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムとの連携を図る。工場の稼働状況を経営側から管理することでグローバルでの生産効率と競争力を高めるのが目的だ。まずは白河工場で2025年下期にMESを稼働させ、2026年末以降、全拠点に展開する。2024年12月11日に発表した。
住友ゴム工業は「DUNLOP(ダンロップ)」「FALKEN(ファルケン)」のブランドでタイヤを製造・販売している。このほど、全工場にMES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)を導入しERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムと連携させることを決めた(図1)。工場の稼働状況を経営側からグローバルで管理し、稼働効率と競争力を高めるのが目的だ。
MESの導入により、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤で取得している工場の生産ラインや機器の稼働状況といったデータの体系化を進め、グローバルレベルでの品質や生産予測に関する社内ノウハウとして蓄積し、知見として共有する。さらにERPシステムとの連携により、工場全体の稼働状況を経営層も見られるようにすることで、経営視点に基づく品質管理や生産計画などにつなげたい考えだ。
執行役員 タイヤ事業本部生産本部長の齋藤 健司 氏はMESの導入について、「グローバルレベルでの製造管理の標準化や、さらなる業務効率化など当社の成長につなげられると期待する。中期計画に掲げるDX(デジタルトランスフォーメーション)経営の実践に向け、国内工場を皮切りに新拠点などへMESの導入を進めていく予定だ」と説明する。
導入計画としてはまず、福島県白河市にある国内最大規模の白河工場に2025年下期をメドに導入。2026年末まで、その効果を検証し、標準化を図ったうえで国内外の工場への展開を目指す。
住友ゴムは、製造コストの上昇や人手不足など経営環境の変化への対応策にDXを位置付け、製造効率を高める生産システムの構築に取り組んできた。第1段階として2019年から、IoT基盤の導入を始め、これまでに国内全4工場を含む9拠点で稼働させている。MES導入は第2段階の取り組みになる。
MESには米ロックウェル・オートメーション製の「FactoryTalk ProductionCentre」を採用した。先行稼働させているIoT基盤に米PTC製の「ThingWorx」を導入しており、ロックウェルとPTCが提携関係にあることからThingWorxとの接続性を評価したとする。齋藤氏は、「ロックウェルとはAI(人工知能)技術も駆使し未来を見据えた協力と挑戦を進めていきたい」と話す。
ロックウェルの自動車、タイヤ、次世代モビリティ産業部門バイスプレジデントであるジェームズ・グラッソン氏は「成長基盤の確立に向けた標準化とグローバル展開への挑戦を続ける住友ゴムの取り組みを当社のMESで支援でき光栄だ。この協業により住友ゴムは、高度なスケジューリングを組み込んだタイヤ専用のMESを活用でき、業務効率の改善と製造関連リスクの低減、導入コストの削減を図りながら市場投入までのスピードを大幅できる」としている。
企業/組織名 | 住友ゴム工業 |
業種 | 製造 |
地域 | 福島県白河市(白河工場)ほか |
課題 | 工場の稼働状況を示すデータの体系化を図り自社ノウハウとして収集・共有するとともに、工場運営を経営視点で意思決定したい |
解決の仕組み | 工場にMESを導入し、IoTデータを集約・体系化を図ると同時に、ERPシステムとも連携しグローバル基準で生産計画を検討する |
推進母体/体制 | 住友ゴム工業、米ロックウェル・オートメーション日本法人 |
活用しているデータ | 工場の生産ラインや設備のデータ |
採用している製品/サービス/技術 | 製造実行システム「FactoryTalk ProductionCentre」(米ロックウェル・オートメーション製)、IoT基盤「ThingWorx」(米PTC製) |
稼働時期 | 2025年下期(白河工場での稼働時期) |