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竹中工務店、ビルマネジメントのための生成AIアプリケーションをDATAFLUCTと共同開発

ANDG CO., LTD.
2025年1月15日

竹中工務店は、ビルマネジメントのための生成AI(人工知能)アプリケーションをAI開発のDATAFLUCTと共同で開発した。人流データやIoT(モノのインターネット)データからビルの利用状況などを把握し、レイアウトの見直しや空調の制御などを容易にする。竹中が開発・提供するビルマネジメントサービス「BSAP(Building Space Analyzation Platform)」に搭載する。DATAFLUCTが2024年12月10日に発表した。

 竹中工務店がDATAFLUCTと共同開発したのは、ビル管理のための生成AI(人工知能)アプリケーション。ビル内の人流データやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)データなどを対象にした分析を自然言語で指示でき、グラフによる可視化や、そこから読み取れる傾向分析などを容易にする。竹中が開発・提供するビルマネジメントサービス「BSAP(Building Space Analyzation Platform)」の一機能として搭載する。

図1:竹中工務店らが開発したビルデータを対象にした生成AIアプリケーションの画面例

 分析対象のデータは、ビル内の人流データやIoTセンサーで取得するデータなど。人流データの分析では、フロアの利用状況などから、利用されていないスペースの有効活用や、オフィス環境の快適性の向上、従業員エンゲージメントにつながる空間の提供などが可能になるという。

 IoTデータの分析では、例えば空調機器の稼働状況から、機器異常の早期検知や、より快適な空調を可能にする運用方法などを発見し、エネルギー使用量の削減や、ビルの価値を長期的に高める施策などにつなげられるとする。

 ビルの図面やBIM(Buliding Information Modeling:建物情報モデリング)データなども管理し、フロアの平面図から対象のエリアや部屋を選択すれば、建物OS「ビルコミ」(竹中工務店製)が管理するデータを参照・ダウンロードができる(図2)。

図2:生成AIアプリケーション上のフロアマップから、分析対象データを選択できる

 竹中は、ビルデータのダウンロード機能や生成AIによるレポート生成の性能の初期検証を立命館大学とともに2024年9月から実施していた。2024年12月からは、東京都江東区にある「竹中セントラルビル サウス」において、設備や環境の解析とレポート機能の効果検証を進めている。今後は、BSAPを導入しているビルに順次提供し、ビルマネジメント業務を支援していく。

 生成AIアプリケーションは、Googleクラウド上の機械学習基盤「Vertex AI」(米Google製)上で、生成AIモデル「Gemini 1.5 Flash」(同)と、生成AIサービス「AirLake Smart Building Agent」(DATAFLUCT製)を組み合わせて開発した。同社エンジニアリング本部長の政井 竜太 氏は、「立地や利用方法などが異なるビルのそれぞれに対し、安全で安定、省エネで快適な運用に向けては、深層学習を活用したモデリングが効果的という実証結果を得ている」としている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名竹中工務店
業種製造
地域東京都江東区(竹中セントラルビル サウス)
課題ビルのマネジメントをデータ駆動型にし、専門家と同様の問題発見や予防保全を実現したい
解決の仕組み人流データやIoTデータを深層学習モデルで分析し、生成AIによるユーザーインタフェースを提供する
推進母体/体制竹中工務店、DATAFLUCT
活用しているデータビルの人流データ、IoTデータなど
採用している製品/サービス/技術ビルマネジメントサービス「BSAP(Building Space Analyzation Platform)」(竹中工務店製)、機械学習基盤「Vertex AI」(米Google製)、生成AIモデル「Gemini 1.5 Flash」(同)、生成AIサービス「AirLake Smart Building Agent」(DATAFLUCT製)
稼働時期2024年12月(竹中セントラルビルサウスでの適用実験開始時期)