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デンソー、設備設計者の技能継承に向けAIを用いたナレッジマネジメントを開始

DIGITAL X 編集部
2025年1月22日

デンソーは、設備設計者の技能継承を目的にAI(人工知能)技術を用いたナレッジマネジメントを開始した。熟練技術者が持つ暗黙知を組織として利用できるようにすることで、生産設備の垂直立ち上げを実現するのが目的だ。ナレッジマネジメントの仕組みを提供するSOLIZEが2025年1月8日に発表した。

 デンソーが、設備設計における熟練技術者が持つ暗黙知を組織として利用するためのナレッジマネジメントに取り組んでいる(図1)。新製品の投入時に新しい生産設備を早期に立ち上げることで、高品質な製品を効率良く生産できるようにするのが目的だ。

図1:設備設計の技能継承に向けデンソーが取り組むナレッジマネジメントの概要

 ナレッジマネジメントでは、AI(人工知能)技術を適用することで、誰もが設備設計における懸念点を効率良く抽出できる仕組みを整えた。設計者が設備仕様の変更点を入力し、対象のユニット/機能を選択すれば、機構構造や構成要素など追加検討すべき優先条件の軸を提示し、品質トラブル事例と予想されるリスクおよび対策ノウハウを関連度の高い順に表示する。

 起こりうるリスクに対し課題要因と対処方法の要約、画像情報などを提示することで設計者は、個々の技術知見を底上げしながらリスクとその対策を網羅的に検討できる。

 ナレッジマネジメントに先行してデンソーは業務プロセスの変革にも取り組んできた。業務プロセスの変革活動とナレッジマネジメントの仕組みを組み合わせることで、品質問題や手戻りの再発防止などの面で成果を得られているという。

 ナレッジマネジメントの仕組みには、開発・設計業務に特化したナレッジマネジメントシステム「SpectA DKM(Dynamic knowledge Management)」を採用した。

 デンソーの生産現場では、製品仕様の複雑化や事業拡大ペースの加速、量産ライン立ち上げのリードタイム短縮などを背景に、生産設備の開発要件の多様化・高度化が急速に進んでいる。その一方で、熟練設計者の高齢化や定年退職などによる技能継承の希薄化や設計リソースの不足が課題になっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名デンソー
業種製造
地域愛知県刈谷市(本社)
課題生産設備の開発要件が多様化・高度化し続けている中で、熟練技術者の高齢化や定年退職により技能継承の希薄化や設計リソース不足が発生している
解決の仕組み熟練設備設計者が暗黙知を組織として利用するためのナレッジマネジメントの仕組みを構築する
推進母体/体制デンソー、SOLIZE
活用しているデータ熟練者の暗黙知など
採用している製品/サービス/技術ナレッジマネジメントシステム「SpectA DKM(Dynamic knowledge Management)」(SOLIZE製)
稼働時期−−