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つくば市、障がい者の公共交通利用を促す医療MaaSを実証実験

DIGITAL X 編集部
2025年2月4日

茨城県つくば市らは、障がい者の生活自立支援と安心・安全な公共交通の利用を目的に、医療MaaS(Mobility as a Service)の実証実験を実施する。チケットレスの乗車と移動中の見守りを検証する。2025年1月17日に発表した。

 茨城県つくば市で実施するのは、障がい者の生活自律の支援において重要な移動機会の創出や移動の促進に向けた実証実験(図1)。障がい者の家族への送迎負担の軽減と、利用者の安全確保の両立と、利用履歴に基づく決済や割引により地方公共交通の利便性を高めるのが目的だ。

図1:つくば市で実施する障がい者の移動を対象にした医療MaaSの実証実験のイメージ

 実験は、知的障害・発達障害を持つ若者の余暇活動・スポーツ活動を支援している団体「MDC」の会員が、自宅最寄りのバス停から筑波大学附属病院の健康・スポーツ科学センター「WIT」までの往復を対象に、2025年1月22日と1月25日、1月29日、2月12日の4日間で実施する。

 参加者は、スマートフォン用アプリケーションを使い、公共バスに乗車券なしで乗車できたり、移動中も家族などが見守ったりできるかを検証する(図1)。バスの利用では、降車時スマホアプリの画面を提示すれば良く、整理券の発券やICカードによるタッチ操作なし乗車できるようにする。WIT利用時もスマホアプリ画面の提示で事後決裁を処理する。

 この間、参加者の家族や職員は、参加者が持つスマホのビーコンの受信データに基づき、参加者の位置をリアルタイムで確認することで、遠隔から参加者を見守れるようにする。

 実験の主体は、ハンズフリーチケッティング共同事業体。つくば市と筑波大学、つくばスマートシティ協議会、日立製作所、関東鉄道、今川商事が構成メンバーで、ハンズフリーで乗車・決裁するためのシステム開発・運用を、関東鉄道はバスの運行、今川商事はWITの運営を、それぞれ担当している。

 つくば市は、必要なときに必要な場所に向けた移動手段を提供する「つくばスマートモビリティ」の実現に取り組んでいる。今回の実証実験はその一環。ハンズフリーチケッティング共同事業体は実証結果を踏まえ、ハンズフリーでの乗車・決済の対象になる施設やサービス、公共交通機関を拡大し、利便性の高いサービスの実装を目指すとしている。

 つくば市らによれば、障がい者の移動には家族の送迎の負担や移動に対する心理的ハードルが高いケースがあり、公共交通を安全・安心に利用できる仕組みづくりが求められている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名茨城県つくば市
業種公共
地域茨城県つくば市
課題障がい者の自立支援において重要な移動機会を創出したり移動を促進したりしたい。障がい者の移動には、家族の送迎負担があり、公共交通の利用時には障がい者には負担になるケースがある
解決の仕組みスマートフォン用アプリケーションを開発し、障がい者がハンズフリーで公共交通機関や関連施設を利用・決裁できるようにする。移動中はビーコンを用いて家族が位置を確認できるようにする
推進母体/体制ハンズフリーチケッティング共同事業体(つくば市、筑波大学、つくばスマートシティ協議会、日立製作所、関東鉄道、今川商事)
活用しているデータ参加者が保有するスマートフォンのID情報やビーコンの受信データなど
採用している製品/サービス/技術ハンズフリーチケッティングシステム(日立製作所製)
稼働時期2025年1月22日・1月25日・1月29日・2月12日(実証実験の実施日)