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塩野義製薬、医薬品・ヘルスケア業界向けDXサービスの事業化に向け日立と提携
塩野義製薬は、医薬品・ヘルスケア業界に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)関連サービスの事業化を目的に、日立製作所と業務提携に関する基本合意書を締結した。2025年度中の一部サービスの提供開始を目指す。2025年1月22日に発表した。
塩野義製薬はこのほど、日立製作所と医薬品・ヘルスケア業界に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)関連サービスの開発・販売に向けた業務提携に関する基本合意書を締結した。一部サービスについては2025年度中の提供開始を目標にする。
両社が医薬品・ヘルスケア業界に向けて取り組む対象は大きく3つある。(1)マスターデータを対象にしたMDM(Master Data Management)の高度化と普及、(2)生成AI(人工知能)技術を使った業務効率化、(3)ヘルスデータを活用した健康経営やサステナブル経営の支援サービスの開発で、いずれも両者の知見を組み合わせて実現する。
MDMでは、塩野義が持つデータベースの設計思想やアルゴリズム構築力、データ解析技術など日立のマスターデータガバナンスの経験の融合を図り、MDMシステムを構築し実証実験を実施する。実験の成果を医薬品・ヘルスケア業界に普及させたい考えだ。
生成AI技術を使った業務効率化では、創薬の開発スピードや運用効率を高める仕組みを構築できるようにする。そのために、塩野義が持つドメインナレッジやAI能解析プログラマシステムの開発・事業化経験・ノウハウと、日立の医薬品業界向けサービス群など創薬バリューチェーンにおける業務プロセスの効率化や精度向上のためのAI技術とノウハウを組み合わせる。
健康/サスティナブル経営の支援サービスでは、個人の健康・医療関連情報であるPHR(Personal Health Record)を利用し、特に、職場のメンタルヘルス対策や従業員のモチベーション向上の支援に注力する。塩野義のPHRデータなどヘルスデータの標準化や活用ノウハウなどと、日立グループのPHR事業基盤やナレッジを組み合わせる。
塩野義製薬は2021年7月、データサイエンス部をDX推進本部内に設立。データベース基盤の整備やアルゴリズム開発、解析技術の獲得・適用などデータ活用を推進している。2030年度までの中期経営計画「SHIONOGI Group Vision」では、生成AIなどのデジタル技術やPHRデータなど使ったビジネス創出を目指している。
日立とは2021年10月から、IT業務に関する戦略的パートナーシップにより協創してきた。今回の基本合意書の締結は、その活動をデジタル技術や解析技術を使った革新にも適用するためのものという。
両者によれば、医薬品・ヘルスケア業界は、高齢化に伴う医療費増大に起因する薬価制度の改定や労働力不足といった課題に直面している。一方で事業会社は従業員の健康管理と労働生産性向上を両立させる仕組みの構築が急務になっている。
企業/組織名 | 塩野義製薬 |
業種 | 医療・健康 |
地域 | 大阪市(本社) |
課題 | 医薬品・ヘルスケア業界では高齢化に伴う医療費増大に起因する薬価制度の改定や労働力不足などが課題になる一方、各社では従業員の健康管理と労働生産性向上を両立させる仕組みの構築が急務になっている |
解決の仕組み | 日立製作所と提携し、両者が持つ技術や知見などを組み合わせることで医薬品・ヘルスケア業界を対象にしたDX関連サービスを開発し提供する |
推進母体/体制 | 塩野義製薬、日立製作所 |
活用しているデータ | 各社のマスターデータや創薬関連データ、PHR(Personal Health Record)など |
採用している製品/サービス/技術 | 「PHRプラットフォーム」(塩野義製薬製)、「Hitachi Digital Solution for Pharmaソリューション群」(日立製作所製) |
稼働時期 | 2025年度中(一部サービスの提供開始時期) |