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サッポロHD、意思決定の迅速化・高度化に向けグループ共有のデータ活用基盤を構築

DIGITAL X 編集部
2025年2月6日

サッポロホールディングスは2025年1月、グループ全体で利用するデータ活用基盤「SAPPORO DATA FACTORY」の運用を開始した。グループ各社のデータやステークホルダーに関連データを集約することで、データ活用基盤の構築・運用負荷を減らし、意思決定におけるデータ活用を容易にするのが目的。中期経営計画に掲げるDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の一環だ。2025年1月27日に発表した。

 サッポロホールディングスはこのほど、グループ全社が利用するためのデータ活用基盤「SAPPORO DATA FACTORY」を構築し、2025年1月から運用を始めている。グループ各社が持つデータのほか、ステークホルダーに関するデータなども一元管理し、各社・各部門でのデータに基づく意思決定を推進するのが目的だ。

図1:サッポロホールディンスが構築・運用する全グループを対象にしたデータ活用基盤「SAPPORO DATA FACTORY」の概念

 SAPPORO DATA FACTORYはクラウド型のデータ活用基盤。酒類や食品/飲料、外食、不動産などグループの事業会社がそれぞれに利用している基幹業務システムやクラウドサービスのデータを、データ統合ツールを用いてグループ各社が持つデータを同期したり集計したりを可能にする。ステークホルダーに関わるデータや、気象情報などのオープンデータなども連携・統合する。

 データ活用基盤の統一により、データ活用のためのシステム投資の負担や、複雑化するシステムの管理・運用リスクを低減しながらデータの種類や量を拡大し、今後の事業成長に向けて各社・各部門が必要とするデータ活用環境を実現したい考えだ。

 統合により例えば、食品・飲料事業を手掛けるポッカサッポロフード&ビバレッジの出荷データと、ビアホールを運営するサッポロライオンが持つ顧客や在庫などの動態データにもアクセスできるようにもなる。従来は、サッポロビールの物流や営業など特定事業の特定の範囲でしかデータを活用できていなかった。

 データの可視化・分析にはBI(Business Intelligence)ツールを用いる。BIツールの機能は、DX(デジタルトランスフォーメーション)リテラシーの向上のための人材育成プログラムの受講者を中心に、ノーコード/ローコードで開発する。

 SAPPORO DATA FACTORYは、データ活用基盤「Snowflake」(米Snowflake製)をベースに構築した。社内データを取り込む仕組みは、データ統合ツール「Qlik Talend Cloud」(米Qlik製)を使って内製した。オープンデータはSnowflakeのデータ共有機能を使って連携を図る。BIツールには「Microsoft Fabric」(米Microsoft製)を使用する。

 サッポログループは、「中期経営計画(2023~26)」において事業・財務戦略とサステナビリティを支える経営基盤としてDXを掲げ、重点活動の1つに位置付けている。SAPPORO DATA FACTORYの構築は、その一環である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名サッポロホールディングス
業種製造
地域東京都渋谷区(本社)
課題社会環境が大きく変化する中で意思決定の迅速化・高度化を図りたい。だが、データ活用のためのシステム投資や管理・運用リスクの負担が増えている
解決の仕組みグループ各社が共通に利用できるデータ活用基盤を構築し、投資・運用負担を軽減しながら、グループ各社のデータに加えステークホルダーに関するデータやオープンデータも集約することで、データ活用の対象事業や領域を拡大する
推進母体/体制サッポロホールディングス
活用しているデータ酒類、食品/飲料、外食、不動産などグループ事業各社が利用する基幹業務システムやクラウドサービスのデータ、ステークホルダーに関連するデータ、気象情報といったオープンデータなど
採用している製品/サービス/技術データ活用基盤「Snowflake」(米Snowflake製)、データ統合ツール「Qlik Talend Cloud」(米Qlik製)、BIツール「Microsoft Fabric」(米Microsoft製)
稼働時期2025年1月(データ活用基盤の運用開始時期)