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ユニ・チャーム、社内横断窓口として自社開発したAIチャットボットを展開
ユニ・チャームは、社内問い合わせの横断窓口としてAI(人工知能)チャットボットを自社開発し利用部門を拡大している。国内社員の約3000人が利用できるようにするのが目標だ。開発を支援したブレインパッドが2025年1月27日に発表した。
ユニ・チャームの「UniChat(ユニチャット)」は、生成AI(人工知能)技術を使って自社開発したAIチャットボット。社内全体の横断的窓口に位置付け、国内社員の約3000人が利用できるようにするのが目標だ。すでに人事や経理、情報システム部門へと利用範囲を拡大している。汎用的な問い合わせにも対応できるようにチューニングしており、回答を返すまでの時間が短縮しているという。
UniChatは最初、法務部門を対象に2024年8月に本番導入した。法務部門1人当たりの問い合わせ件数が最大で月3件にまで減り、対応に要する時間も最大月30分に短縮できている。従来は問い合わせ対応に1人当たり月100件程度、約17時間を要していた。寄せられる質問も初歩的なものや簡易的なものが大半だったという。
法務部門での成果を受けて、2024年10月からは知財部門でも利用を始めている。特許情報から技術的なポイントを抑えた要約を生成し、分析レポートなどの資料作成までを自動化することで、包括的な知財戦略の立案に人手をかける。UniChatには、過去の特許出願情報や技術報告書などの社内データと、特許庁が公開する登録特許や判例などの外部データを学習させた。
UniChatは同社の情報システム部主導で開発した。ブレインパッドの支援を受けながら2023年8月に開発を完了。社内ニーズの調査では、AIモデルの学習に外部データを利用できることや、複数部門への展開が重視されていた。そこで2023年秋からはRAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)やロングコンテキストLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)、音声・画像・動画などのデータ入出力などに取り組んできた。
法務部門への本番利用を前に2023年12月からはPoC(Proof of Concept:実証実験)を実施した。生成AIモデル「Gemini」(米Google製)と開発ツール「Vertex AI Agent Builder」(同)を使ってUniChatのためのデータ基盤を整備したことで正答率が90%に達したという。利用状況を分析しUI(User Interface)の改善も並行して取り組んだ。
今後は、業務の効率化に加え、価値創出の領域にも生成AI技術を利用していくという。
企業/組織名 | ユニ・チャーム |
業種 | 製造 |
地域 | 東京都港区(本社) |
課題 | 文献調査や問い合わせ業務などへの対応に人手と時間がとられ、本来業務に割ける時間が減っている |
解決の仕組み | 生成AI技術を使ってAIチャットボットを開発し社内横断的に利用する。法務部門での問い合わせ対応、知財部門での特許関連文書の要約・レポート生成などに利用し、業務効率を高める |
推進母体/体制 | ユニ・チャーム、ブレインパッド |
活用しているデータ | 法務関連情報、特許出願情報や技術報告書、登録特許や判例など、利用部門が保有する各種情報など |
採用している製品/サービス/技術 | 生成AIモデル「Gemini」(米Google製)、開発ツール「Vertex AI Agent Builder」(同) |
稼働時期 | 2024年8月(法務部門での本番利用開始時期) |