• UseCase
  • 製造

京セラの機械工具事業本部、海外製造拠点での技能継承にARシステムを導入

ANDG CO., LTD.
2025年2月10日

京セラの機械工具事業本部は、海外製造拠点での従業員教育のためにAR(Augmented Reality:拡張現実)システムを導入した。切削工具の製造に必要な技能の継承や業務の標準化を図る。導入を支援した米PTCの日本法人が2025年1月30日に発表した。

 京セラの機械工具事業本部は、ベトナムに切削工具の製造拠点Kyocera Vietnam(京セラベトナム)を置いている(写真1)。このほど、現地従業員の教育用途にAR(Augmented Reality:拡張現実)システムを導入した。切削工具の製造工程で求められる技能の継承と業務の標準化が目的だ。

写真1:京セラの切削工具の海外製造拠点であるKyocera Vietnam(京セラベトナム)

 ARシステムの利用について京セラは、「安心・安全な環境で業務を学びやすく、従業員のモチベーション向上や継続的な勤務につながると考えている」とする。導入を主導した京セラ 鹿児島川内工場 機械工具事業本部 機械工具製造部の久德 友和 氏は、「京セラベトナムの現地従業員はデジタルネイティブ世代が中心で、ARシステムへの違和感や抵抗感を持つことがない。精度の高い技能継承が可能だ」と話す。

 ARシステムを使った教育では、従業員はタブレットなどで実際の作業環境を動画として流し、作業環境に重ね合わせた手順やガイドを視覚的に確認しながら作業を進めれば良い(写真2)。

写真2:ARシステムによる切削工具生産での目視検査のイメージ

 教育用コンテンツの作成では、まず実際の作業手順をスマートフォンやタブレットで動画として記録。その動画の重要な作業タイミングや注目箇所に対して、手順やガイドなどをチェック項目や画像、テキストなどによって注釈を加える。

 京セラではまず、事故防止に重点を置き、砥石の交換方法といった段取り替えに関するコンテンツを制作した。今後は、検査工程での検査手順や、最適な加工条件の算出方法など、製造工程の別にコンテンツを約20本制作する計画だ。京セラベトナムでの成果を確認できれば、国内外にある他の製造拠点への導入を検討する。

 ARシステムには、米PTC製の「Vuforia Expert Capture」を採用している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名京セラの機械工具事業本部
業種製造
地域ベトナムのフンイエン省(Kyocera Vietnam)
課題切削工具の製造拠点で現地採用した従業員に技能教育を進めると同時に。業務の標準化を図りたい
解決の仕組み実際の現場の映像に手順やガイドを重ね合わせて表示できるAR(拡張現実)システムを使って視覚的に教育する
推進母体/体制京セラ、米PTC日本法人
活用しているデータ作業手順の録画データ、手順やガイドなどを示すテキストや画像など
採用している製品/サービス/技術ARシステム「Vuforia Expert Capture」(米PTC製)
稼働時期--