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ノジマ、店舗運営の改善に顧客の店内行動データを活用
店内マップや店員呼び出し機能を持つ自社アプリで取得
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家電量販店のノジマは、店頭レイアウトやスタッフ配置の改善に、顧客の店内での行動データを利用している。データは自社のスマートフォン用アプリケーションを使って取得する。アプリの利用率を高めるために店内地図などの機能を提供している。システム基盤を提供するソニーのセキュアテクノロジー&ソリューション事業部が2025年1月30日に発表した。
ノジマが取り組むのは、顧客の店内行動に合わせた店頭レイアウトの改善やスタッフ配置の最適化(図1)。自社製のスマートフォン用アプリケーション「ノジマアプリ」から取得できる顧客の行動データを元に、顧客の店舗内で位置や移動経路、立ち寄った売り場、棚の前での滞在時間などをリアルタイムで把握すると同時に、分析結果から改善策を探る。ノジマアプリは2024年12月末時点で110超の店舗で利用できる。
家電量販店は、取扱商品の幅も種類も広がり、店舗も大型化している。ノジマではこれまで、どの商品が、どこに置いてあるのかが分かり難いという声や、相談したい時に店員がいないといった声が寄せられていた。こうした声に応えながらCX(Customer Experience:顧客体験)の向上と店舗運営の効率化の両立を図りたい考えだ。
ノジマアプリの利用率やアプリのCXを高めるための機能として、(1)店内マップや、(2)コンサルタント相談などを提供している(図2)。店内マップは、店内での現在地を示す機能。顧客自身の位置や向きをスマホ画面に表示、目的の商品にたどりつきやすくする。
コンサルタント相談は、店内スタッフの呼び出し機能。画面上にある「店員」ボタンを押せばスタッフと直接相談できる。アプリを立ち上げている顧客の位置と状況は、店舗スタッフ用のタブレット端末から確認できるため、顧客からの呼び出しに対し熟練度の高いスタッフが対応するなども可能になる。
ノジマアプリは、屋内行動分析基盤「NaviCX(ナビックス)」(ソニー製)を使って開発・運用している。導入はソニーセキュアテクノロジー&ソリューション事業部が支援した。
NaviCXは、ソニー独自の測位方法「PDR(Pedestrian Dead Reckoning:歩行者自律航法)」技術を搭載している。スマホのジャイロセンサーや加速度センサーで得られるデータをAI(人工知能)技術で分析し、歩行パターンから位置を推定する。測位精度を高めるために、店内に設置したBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンを使って定期的に位置情報を取得するほか、地磁気からズレを補正する(図3)。
ノジマは現在、高度なCXを創出するための「DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクト」を進めている。自社のコンサルティングセールスで得た現場の知見と、AIやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の技術を掛け合わせて実現する。スマホによる顧客の行動データ活用は、その一環である。
企業/組織名 | ノジマ |
業種 | 流通・小売り |
地域 | 横浜市(本社)※横浜は政令指定都市。県名不要 |
課題 | 取扱商品の広がりや店舗の大型化などを背景に、どの商品が、どこに置いてあるのかが分かり難いや、相談したい時に店員がいないといった顧客の声が届いている |
解決の仕組み | 自社アプリ「ノジマアプリ」を使い店内で顧客を目的の商品に誘導したり店員とすぐに相談できるようにするほか、行動データを分析し、店内レイアウトやスタッフの配置を改善・最適化を図る |
推進母体/体制 | ノジマ、ソニー セキュアテクノロジー&ソリューション事業部 |
活用しているデータ | 「ノジマアプリ」を起動中に取得できる顧客の店内での位置や向きなどのデータ |
採用している製品/サービス/技術 | 自社アプリ「ノジマアプリ」(ノジマ製)、屋内行動分析基盤「NaviCX」(ソニー製) |
稼働時期 | 2024年3月(ノジマアプリでの店内マップとコンサルタント相談機能の提供開始時期) |