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ヤマト、共同輸配送のための荷主と物流事業者のマッチングサービスを開始

DIGITAL X 編集部
2025年2月19日

ヤマトホールディングス傘下のSustainable Shared Transport(SST)は2025年2月1日、荷主企業と物流事業者をマッチングする共同輸配送サービスの提供を開始した。そのための共同輸配送システムを同日、富士通と共に稼働させた。共同配送によりドライバー不足に悩む物流の効率化を推進する。2025年1月27日に発表した。

 Sustainable Shared Transport(SST)は、共同配送に向けて標準パレット輸送と商流・物流情報の連携基盤の提供に向けてヤマトホールディングスが2024年5月21日に設立した企業。2025年2月1日から幹線輸送をベースにした共同輸配送サービス「SST便」を開始した(図1)。

図1:「SST便」が目指す共同配送のイメージ

 SST便では、宮城県から福岡県までの幹線輸送を1日16便運行し、定時運行、中継輸送、混載のいずれかを標準パレットスペース単位で提供。そこから地域の物流事業者と連携した域内配送までを用意する(図2)。対象地域やダイヤの拡充、鉄道や船舶なども含めたマルチモーダルを推進し、路線を2026年3月末をめどに80線便にまで拡大する計画だ。

図2:共同配送サービス「SST便」における幹線輸送の提供区間

 共同配送のために、荷主企業と物流事業者のマッチングを図るシステムも稼働させた。荷主企業の出荷計画や梱包状態、荷物量などの情報と、物流事業者の運行計画から最適な輸送計画を作成する。

 同システムにより荷主企業は、同一区間でも複数の時間帯と複数の輸送手段の中から標準パレットスペース単位で最適な輸送方法を選択できる(図3)。物流事業者は、帰り荷の確保による復路の空車走行の減少など、積載率や稼働率の向上やドライバーの負担軽減・処遇改善を図れるようになるとする。

図3: 共同輸配送のためのマッチングシステムにおける配車予約の管理画面のイメージ

 マッチングシステムは、富士通の物流業向けデータ基盤「Fujitsu Unified Logistics」を使って構築した。内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第二期スマート物流サービス」プロジェクトが策定する「物流情報標準ガイドライン」に準拠し、企業間で定義が異なるデータの連携を容易にしているという。

 マッチングのために荷主らが提供する情報は、ブロックチェーン技術やサイバーセキュリティに対する富士通の知見を使って外部からの閲覧を防いでいる。データ変更ログから第三者による改ざんを検知し、対応・復旧にも対応する。

 SSTと富士通は今後、ヤマトグループが持つ約170万社の法人顧客や、3500社以上の物流事業者とのパートナーシップ、輸配送ネットワークや運用に関するノウハウと、富士通が持つ製造・流通分野の業務知見やシステム構築ノウハウを組み合わせ、業界をまたがるサプライチェーンの実現を目指すとしている。

 両社によれば、物流を巡っては、荷主企業と物流事業者を含め、あらゆる事業者がその効率化やドライバーらの職場環境の整備を迫られている。しかし、業種・業界ごとにシステムや規格・商慣習が異なるため、一部の荷主企業や物流業者のみでの取り組みには限界がある。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名Sustainable Shared Transport(SST)
業種物流
地域東京都中央区(本社)
課題人手不足や労働時間規制のある物流においては、その効率化や職場環境の整備が求められるが、業種・業界でシステムや規格・商慣習が異なり、個別企業による取り組みには限界がある
解決の仕組み荷主と物流事業者のマッチングを図るシステムを使った共同配送を拡大する
推進母体/体制ヤマトホールディングス、SST、富士通
活用しているデータ荷主企業の出荷計画や梱包の状態、荷物量などの情報および物流事業者の運行計画
採用している製品/サービス/技術「Fujitsu Unified Logistics」(富士通製)
稼働時期2025年月2月1日(共同配送サービスの提供開始日)