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日清製粉ウェルナ、冷凍食品の生産・配送計画の策定をAIで自動化

ANDG CO., LTD.
2025年2月21日

食品メーカーの日清製粉ウェルナは、冷凍食品の生産・配送計画の策定をAI(人工知能)技術を使って自動化するシステムをAI関連システムを手掛けるグリッドと共同開発した。需要の急増や物流トラブルなどに起因するリスクを低減し、製品の安定供給を図るのが目的だ。2024年10月から運用していると2025年2月4日に発表した。

 日清製粉グループの食品メーカーである日清製粉ウェルナは2024年10月から、新たに開発した「冷凍食品の需給管理自動化システム」を運用している。冷凍食品の生産・配送計画をAI(人工知能)技術を使って立案するシステムで、生産計画の策定では従来の約3日を1日程度に、配送計画の作成は約2時間を約45分に、それぞれ短縮し、合計で月50時間程度の業務時間を削減できているという(図1)。

図1:日清製粉ウェルナが運用する「冷凍食品の需給管理自動化システム」は、出荷実績などから生産および配送計画をAI技術を使って策定する

 日清製粉ウェルナでは、生産した冷凍食品を各地の倉庫を経由して小売店に納品している。需要や倉庫の在庫状況に応じて倉庫から倉庫に製品を転送することで製品供給の安定を図っている。

 新システムでは、需給計画と在庫転送計画の策定を自動化した。そのためにまず、過去の出荷データと受注している数量や品目などの実績データから月次の販売数量の「見込み表」を作成。見込み表と実際の在庫数および工場の稼働スケジュールを合わせてAI技術を使って両計画を策定する。

 需給計画は、製造する工場ごとに製品や数量・日付・納品先などを計画する。在庫転送計画では、各倉庫に配車する車両台数と、倉庫から倉庫への在庫移動数を計画する。配車台数は在庫状況に応じてリアルタイムに更新し、転送先や個数までを自動計算する。計画は担当者が使い慣れた形式で出力する。

 システムの開発に当たっては、計画をAI技術で自動作成するだけではなく、実際の作業工程を反映できたり、状況に応じて修正できたりする仕組みにしたという。それにより、突発的なトラブルやイレギュラーな状況下でも柔軟に対応できるとしている。サプライチェーン関連システムを手掛けるグリッドと共同で開発した。

 冷凍食品の需給・配送計画はこれまで、専門の担当者が手作業で策定してきた。計画予測の組み合わせは約1800パターンあり、人手による管理は負担が大きくなっていた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日清製粉ウェルナ
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題需要の急増や物流トラブルが発生した際でも製品を安定して供給したいが、人手による需給・配送計画の策定負荷が大きくなっている
解決の仕組み過去の出荷や受注の実績データから各工場の生産計画や倉庫間の在庫移動計画などを自動で策定できるシステムを開発し利用する
推進母体/体制日清製粉ウェルナ、グリッド
活用しているデータ過去の出荷実績、受注実績、現在の在庫数、工場の稼働スケジュールなど
採用している製品/サービス/技術「冷凍食品の需給管理自動化システム」(自社開発)
稼働時期2024年10月(運用開始時期)