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ウエルシア薬局、サプライチェーン全体の効率化と省エネ化に向けた情報連携基盤を導入

DIGITAL X 編集部
2025年3月3日

ウエルシア薬局は、サプライチェーン全体の配送効率化と省エネ化を目的とした情報連携基盤を神奈川県綾瀬市にある物流センターに導入した。ドラッグストアの物流センターにおける情報連携基盤の利用は国内で、これが初めてという。同基盤と連携する自動化設備も稼働させている。2025年2月26日に発表した。

 ドラッグストアチェーンのウエルシア薬局はこのほど、神奈川県綾瀬市にある物流センター「ウエルシア西関東RDC」において、サプライチェーン全体の効率を高めるために、卸事業者や物流事業者との情報共有を可能にする情報連携基盤を稼働させた(写真1)。配送業務の効率向上と、同拠点への納品車両のエネルギー消費量をシステム導入前比で1カ月当たり約7%削減することを目指す。稼働に向けては、2024年12月から2025年1月に実証実験を実施した。

写真1:ウエルシア薬局が神奈川県綾瀬市で運営する物流センター「ウエルシア西関東RDC」の外観

 情報共有基盤では、各メーカーから送られてくる確定入荷数や荷姿、納品車両といった事前納品通知情報を、ウエルシア薬局がメーカーに発注してから店舗に納品するまでのサプライチェーン全体で連携を図り、物流センターのシステムに接続することで入荷車両の滞留時間を短縮すると同時に、車両の運行効率を高める(図1)。待機分の人件費などのコスト削減やエネルギー消費の削減にもつなげる。事前納品通知情報は外部の「物流・商流データ基盤」において標準化への取り組みが進んでいる。

図1:ウエルシア薬局が導入した情報共有基盤の位置付けとデータの流れ

 メーカーからの事前納品通知情報は、物流センターのWMS(倉庫管理システム)や移動式の協働ロボットなどの自動化設備にも送り、検品作業工数の削減や、紙伝票の廃止、欠品や分納などの確認作業の排除などで業務効率を高める。移動式協働ロボットは、ドライバーに代わってパレットの積み下ろしや積み込みに利用し、自動化を図る。

 ウエルシア薬局ではこれまで、事前納品通知情報を物流センターで共有できておらず、入荷車両のバースでの滞留時間を増やすなど、非効率な運用につながっていた。入庫時の検品作業も手作業で対応していた。

 新システムは、卸事業者のPALTACと、物流事業者のセンコー、ITベンダーの日立製作所と共同で開発し運用する。情報共有基盤には「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送情報シェアリングプラットフォーム」(日立製)を採用。移動式協働ロボットは日立オートメーション製である。

 ウエルシア薬局が全体を統括し、物流センターの施設を提供する。PALTACは、ウエルシア薬局からの発注を受けて各メーカーに出荷指示を出し、メーカーからの出荷予定を情報連携基盤に登録。センコーは、物流センターの運営と店舗への納品を担当し、入荷業務での自動化設備の運用と、店舗配送でのドライバーへの携帯端末の配備と伝票の電子化を図る。

 メーカーおよび物流委託企業として、エステー、大塚製薬、牛乳石鹼共進社、ユニリーバ・ジャパン・カスターマーマーケティング、愛宕倉庫、大塚倉庫が参画する。

 今後は、より多くのメーカーからの事前納品通知情報に対応するとともに、西関東RDC以外の全社拠点にも適用していく。さらに、他のドラッグストアや卸事業者にも参画を呼びかけドラッグストア業界全体への普及・拡大目指す。

 今回と取り組みは、経済産業省・国土交通省の「令和6 年度 新技術活用サプライチェーン全体輸送効率化・非化石エネルギー転換推進事業」に採択されている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ウエルシア薬局
業種流通・小売り
地域神奈川県綾瀬市(物流センター「ウエルシア西関東RDC」)
課題サプライチェーン全体の配送効率化とエネルギー消費の削減を図りたい
解決の仕組みメーカーからの事前納品通知情報を、卸事業者、物流事業者、自社物流センター間で共有し、入荷車両の滞留時間の短縮をすると同時に、物流センターのWMSや移動式協働ロボットなどとも連携し自動化を進める
推進母体/体制ウエルシア薬局、PALTAC、センコー、日立製作所
活用しているデータメーカーからの事前納品通知情報など
採用している製品/サービス/技術「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送情報シェアリングプラットフォーム」(日立製作所製)、移動式協働ロボット(日立オートメーション製)
稼働時期2025年2月(ウエルシア西関東RDCでの本番稼働時期)