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商船三井、船員の配置計画作成をAIシステムで自動化

DIGITAL X 編集部
2025年3月25日

商船三井は、船員をどの船に乗船させるかを決める配乗計画の作成を数理最適化技術を使って自動作成する。そのためのシステムを富士通と共同開発し、2025年5月からの本格運用を目指す。船員の乗船状況や船舶のスケジュールなどに合わせて最適化し、船員のワークライフバランスを実現する。2025年3月12日に発表した。

 商船三井はこのほど「最適化AI配乗計画システム」を富士通と共同開発した。船員の乗船状況や船舶のスケジュールなど複数条件を加味し、どの船員がどの船に乗船すれば最適かを計算し、配乗計画を作成する(図1)。船員の働きやすさや休暇の取りやすさなどワークライフバランスを実現するのを目的に、2025年5月からの本格運用を目指す。

図1:商船三井が開発した「最適化AI配乗計画システム」の概要

 配乗計画システムは、まず入力条件を基に複数の計画案を作成する。船員の働きやすさや希望に沿っているかどうかを評価基準でスコアリングし、高スコアを得た計画を元に船員別や船舶別の配乗計画を作成する。従来、数時間かかっていた計画作成時間を7割削減できる見込みである。

 入力情報は(1)船員情報、(2)船舶情報、(3)作成方針の3つ。船員情報は、船員の職位や保有資格、乗船経験、異動予定など、船舶情報は、船舶の種類や配乗職位、必要資格、スケジュール要求などである。作成方針は個人のバラツキを抑えるためのルールで、結婚や出産といった個人の予定や年間休暇の付与状況などが相当する。

 商船三井は「Human Capital ビジョン」を掲げ、社員の働きがい向上と労働環境の整備に取り組んでいる。配乗計画システムはその取り組みの一環だ。同社の計画担当者はこれまで、船員情報と船舶情報を、それぞれを個別に管理するデータベースから抽出し手作業で計画を立てていた。

 海運会社が作成する配乗計画は船舶の運航効率に影響する。近年は地球環境保護や運送品質への意識が高まるなか、船舶運航の安全や環境に関する国際条約や各種規制が強化され、乗船できる船員の条件も増えており最適化が難しくなっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名商船三井
業種物流
地域東京都港区(本社)
課題船舶の運行効率を左右する配乗計画において、船員の働きやすさや休暇の取りやすさなどワークライフバランスを、より考慮したい
解決の仕組み船員や船舶などの条件から最適な配乗計画を自動作成するシステムを開発する
推進母体/体制商船三井、富士通
活用しているデータ船員の職位や乗船経験、船舶の種類やスケジュール、個人の予定や休暇の付与状況など
採用している製品/サービス/技術数理最適化AI(富士通製)
稼働時期2025年5月(業務での本格運用開始予定時期)