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渋谷区、公共施設などの工事現場の監理業務へのARグラスによる遠隔支援を実証実験

ANDG CO., LTD.
2025年4月23日

東京都渋谷区は、公共施設などの工事現場における監理業務などをAR(Augmented Reality:拡張現実:)グラスを使って遠隔支援する実証実験を実施した。施工状況をリアルタイムで確認したり、作業指示の伝達、資材検査などに利用した。監督者の移動時間削減や作業効率向上が確認できたという。ARグラスを開発したCellidが2025年4月9日に発表した。

 東京都渋谷区が実施したのは、公共施設などの工事現場における監理業務などをAR(Augmented Reality:拡張現実)グラスを使って遠隔から支援する実証実験。現場作業員が装着するARグラスを介して、遠隔地にいる監督者が施工状況を確認したり、作業指示を出したりした。

写真1:渋谷区が工事現場の遠隔支援に用いたARグラス

 実験は、渋谷区が所轄する公共施設の工事現場など4カ所で、全5回実施し、移動時間の削減や工事作業の効率化を検証した。結果、遠隔から現場までの移動時間を含めた工事時間を1.4時間削減でき、年間425〜638時間に相当する削減効果が認められたという。

 現場の映像をARグラスに搭載したカメラで撮影し、遠隔地にいる監督者が補修箇所や内装の仕上がり状態を確認した。現場作業者と監督者が映像を見ながら対象を確認し意思疎通が図れるかなどを確かめた。

 またARグラスには、現場作業に必要な発注資材の品名・品番・数量などの明細をテキスト情報として送信した。現場作業員はARグラスに投影される情報や指示を読み取りながら、実際の納品ラベルと照合する受け入れ検査などを実施した。

 ARグラスは、空間認識技術などを開発するCellid(セリッド)が提供した。DOE(Diffractive Optical Element:回折光学素子)方式により、映像をレンズ内で反射・拡散させることで実際の風景を損なわず映像が見られるという。遠隔支援では、スマートフォンやタブレットを使う方法もあるが、メガネ型のARグラスならば両手が自由に使え、作業者の安全性向上が期待できるとしている。

 今回の実験は、東京都が主導するスタートアップ支援事業「キングサーモンプロジェクト」第5期(令和6年)にCellidが採択されたことによるもの。スタートアップと都政の課題をマッチングし、行政現場での実証実験や先行導入を通じて、社会課題の解決とスタートアップの成長を同時に促進する取り組みである。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名渋谷区
業種公共
地域東京都渋谷区
課題公共施設などの工事現場による作業効率を高めたい
解決の仕組みARグラスを利用し、遠隔地から監理業務を実施したり現場作業員に指示を出したする
推進母体/体制渋谷区、Cellid
活用しているデータ工事現場の映像や作業指示に必要な情報など
採用している製品/サービス/技術ARグラス(Cellid製)
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